俺の日常にファンタジーが突き刺さってきた その7

■□■□異世界2日目■□■□


■いわゆるドロップアイテム的な?

・異世界2日目 10:25

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しばらくの後、イノシシがシュイーンと消え始めた。


時間経過で消えるシステムでホントよかった。

もし消えないシステムだったら、今頃国中がモンスターの死体で溢れ返ってたんじゃね?


さて、前置きはこれくらいにして本題だ。


ねんがんの ドロップアイテムを GETしたぞ!


イノシシの死体が完全に消えたと同時にドンッと地面に落ちてきた。

初のドロップアイテムは、キレイに処理された巨大なブロック肉だった。


うん。

思ってたのと違う。


定番なら「魔石っぽいキレイな石」とか「ポーションっぽいボトル」とか「聖なる感じがする金属」とかじゃね?


少なくとも、俺が仕入れた事前情報ではそうだった。

どのブログを見ても「肉GET!」なんて記載はなかったはずだ。


にもかかわらず肉。しかもデカい。

もしかしてレアドロップ的な?


だとしたら切なすぎるわ。

レアドロップが肉て……。肉て……。


思わず世の無常について考えちまった。

しかしそんな俺とは裏腹にペットたちはチョーご機嫌だ。


まずテンションが違う。ウィリアムとエドガーはしっぽ振りまくってるし、シバたちはブロック肉の周りを忙しなく走り回っている。


揃いも揃って食う気マンマンである。マジかよお前たち。


「ウィリアム、これ食えるのか?」

「ガウガウッ!」


喰い気味に返されてしまった。


どうやら食えるらしい。そしてチョー食いたいらしい。大層美味いらしい。


そうか……美味いのかこの肉。

そんな事言われたら、食ってみたくなるのが人情ってもんじゃね?


特に最近は食が悲惨だったからな。特に食い合わせが酷かったからな。美味い食材が手に入るのは普通に嬉しいわ。


電気もガスも使えねぇけど、幸いにも我が家には槍から火を吹くBBAが棲息している。焼肉パーティーくらいは余裕だろ。


それにこれ以上コイツらを待たせるのも酷だ。


[肉写真:よだれを垂らしながらも”待て”してるところ (エライ)]


健気だろ?

コイツら俺の”よし!”を待ってんだぜ?


ホント、うちの子はかわいいなー。






■生肉をかじるわけじゃないらしい

・異世界2日目 11:00

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「よし!」と言った瞬間。

ウィリアムの【遠ひっかき】が生肉を襲った!


いい感じにバラされるブロック肉。

塊1つの大きさはラグビーボールくらいかな?結構デカい。


それをシバたちがせっせと回収してシバ助とシバ太のカバン(補給兵のカバン)に詰め込んでいく。


カバンと言ってもシバたちの身体に併せた小さな肩掛けのカバンだ。


容量的には塊1個でパンパンになるくらいの大きさなんだが、そんなの関係ねぇ!とばかりに次から次にポンポン入っている。


もしかすると補給兵のカバンは、いわゆるアイテムボックス的な機能が搭載されているのかもしれねぇな。


だとしたら補給兵って結構アタリじゃね?

よかったなシバ助、シバ太!


あと、話は飛ぶんだが是非とも聞いて欲しい。


シバたちが肉を運搬する光景が異様にかわいい。


短い手足(?)を上手に使って、せっせせっせと肉を運ぶところとかチョーかわいい。


[シバ運搬写真:うまく肉を持ち上げれずにモタモタしてるシバ吉 (かわいい)]

[シバ運搬写真:コケないように歩幅を狭めて歩くシバ山 (かわいい)]

[シバ運搬写真:途中コケてしまい肉を落としてしまったシバ山 (かわいい)]

[シバ運搬写真:肉を落とした罪悪感に苛まれオロオロしてるシバ山 (かわいい)]

[シバ運搬写真:凹むシバ山を慰めるシバ丸 (かわいい)]

[シバ運搬写真:落とさないように2人で肉を運ぶシバ山とシバ丸 (かわいい)]


全体的にちょこまかしててかわいいだろ?


不器用でモタモタしてるところなんて、最高におバカかわいくね?


ほほえましい気持ちでシバたちを運搬作業を眺めてたら、時間なんてあっいう間に過ぎていた。


ちなみに、肉は全部カバンに詰め込めたみたいだ。

にもかかわらずカバンは全く膨らんでない。


いいじゃんいいじゃん。


こりゃ間違いなくアイテムボックス的なカバンだろ。


しかし世の中はそんなに甘くなかった。

事件はこの直後に発生した。


肉の積み込みが終わり、さぁ家に帰ろうかと歩き出した瞬間。

突如、シバ助とシバ太がつっ立ったまま手足(?)をジタバタさせ始めた。


どうやらカバンが重くて歩けなくなったらしい。


なるほど。

容量は大きいけど、重さは普通に感じるってパターンか。


必死にカバンを引っぱるが1mmたりとも動かない。2人にとってはチョー緊急事態だ。全力で「くーんくーん!」と訴えてくる。


重ねて言う緊急事態だ。


そんな2人の様子に気付いた他のシバがヘルプに向かった。

しかしそれでもカバンは動かない。5人の力を合わせて引っ張ってるのに1㎜たりとも動かないのだ。


まさに打つ手なし。

完全敗北なのである。


後に残ったのは、シバファイブによる「くーん!くーん!」の大合唱だけだ。


マジで焦っているらしい。


その証拠にシバたちから”大変ですご主人様!大変な事になりました!”という強い思念を感じる。


いきなりだが、今から俺は不謹慎な事を書く。出来れば怒らずに読んで欲しい。


「くーん!くーん!」と狼狽えるシバたちがメッチャかわいい。


本人たちは至極真剣なんだろうが

スマン。どう考えてもかわいいぞお前たち。


[シバ写真:くーんくーん大合唱 (かわいい)]


しかし、いくらかわいいからって

その光景をしばらく観察してしまったのは流石に悪かったと思っている。


誠にスマンかったなシバたちよ。

この償いはいずれさせてもらおうと思ってるぞ。


ちなみに、肉を詰め込んだカバンはシバ助、シバ太ともどもウィリアムが運んでくれた。


ウィリアムやっぱ強えぇわコイツ。






■イノシシうめぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!

・異世界2日目 11:45

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「これ焼いて食いたいんだけど」

「あら、アンタにしては気が利いてるじゃない」


BBAノリノリである。

早速、槍で肉を炙ってくれた。


流石の火力だ。焼き始めにBBAから「レアでいい?」と聞かれ気がしたが、目の前の皿に乗ってるのはどう見てもウェルダンだ。あの確認は何だったんだろうか。


ウィリアムたちもお行儀よくお座りして焼き上がりを待っている。


火力が強いのですぐに焼き上がるだろう。

折角だし皆揃って「いただきます」するかな。


そして願わくば、今回の餌付けによってBBAの好感度が少しでも上がってくれればいいなと思う。


BBAがウィリアムのお皿に焼いた肉を乗せる。


その瞬間ウィリアムの鼻頭にしわが寄り「ウーッ!」と鋭い唸り声が上がった。


ダメだった。

俺の願いは儚く散った。


つづくエドガーも「ウーッ!」

もちろんシバたちも「ウーッ!」


BBAまさかの全敗。

清々しいまでの嫌われっぷりである。


俺は折を見てBBAとペットたちの橋渡しをしようと心に誓ったのだった。


ちなみにイノシシ肉は絶品だったぞ。


狼兄弟は嬉しそうにバクバク食ってたけど、

シバたちが涙を流しながら食ってたのが印象的だった。

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