俺の日常にファンタジーが突き刺さってきた その6

■□■□異世界2日目■□■□


■公園到着!!

・異世界2日目 9:55

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公園へ向かう道中。


エドガーが前足をブンブン振り回してた。

どうやらウィリアムの【遠ひっかき】を真似てるらしい。


壮絶にかわいい。

何でもお兄ちゃんと一緒じゃないと嫌なのかな?


とか思って見てたんだが、エドガーもしれーっと【遠ひっかき】マスターしやがった。チート再びである。


まぁ、流石に威力はお察しだけどな。

エドガーちっちぇし。


つっても俺の全力パンチよりは強ぇけどなwwwwwwwwww

俺の存在意義って何なんだろうか。


公園へは普通に到着した。


道中3回の襲撃を受けたが、

その都度、狼兄弟が圧倒的な火力で制圧してくれたからな。


何一つ大変なことはなかった。俺はペットの後ろをただ歩いているだけでよかった。

ホント俺の存在意義って何なんだろうな。


かなりガチめで凹んだ。


けど、公園に入った途端すぐにそんなことはどうでもよくなった。


公園は修羅の国と化していた。




■ぶもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

・異世界2日目 10:00

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広場の方から複数の声が聞こえたから行ってみると

そこは獣人とモンスターの壮絶な鬼ごっこ会場となっていた。


「クゥンクゥン」言いながら必死に逃げる獣人たち。

目撃情報通り「二足歩行の犬」だ。


それを追いかける大型バイクサイズのイノシシ。つまりチョーデカい。


ちょこまか逃げ回るエサに大変ご立腹らしく、四六時中「ぶもぉぉぉぉぉ!!」と怒声を上げておられる。チョー怖い。


これはアカン。

なんぼ何でも無理でっせ。


さぁウィリアム、エドガー、ここはいったん逃げますぞなもし!


とか思った時には、時すでに遅し。

既にウィリアムとエドガーがイノシシに突撃してた。マジかよお前ら。


しかも普通に戦えてる。マジかよお前ら。

ってか普通に優勢だわ。マジかよお前ら。


華麗なヒット&アウェイでイノシシを翻弄するウィリアム。

弾丸のようなタックルで、どっかんどっかんイノシシに突き刺さっていく。


そして万が一にもウィリアムが被弾しないよう、いい感じに牽制を入れるエドガー。

体制を立て直そうとするイノシシの足元に、容赦なく【遠引っかき】をブチ込んでた。


まさにワンサイドゲーム。

蓋を開けてみれば、ものの数分で超巨大イノシシを血祭りに上げやがった。

マジかよお前ら。


うちのペットたちチョー強ェェェェ……。




■ぷるぷる、僕たち悪い獣人じゃないよ、ぷるぷる

・異世界2日目 10:15

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獣人たちからお礼された。

噂通り義理堅いヤツららしい。


まず俺の前にやって来てペコリ。

次にウィリアムの前に移動してペコリ。

最後にエドガーにもペコリ。


「まずはご主人から!」ってことで俺からなんだろうが

正直、チョー居たたまれなかった。


俺、何もしてへんねん。


君らを助けたのは、そこにおる狼兄弟やねん。

むしろ俺は、君らを見捨てて逃げようとしたタイプの男やねん。


つー訳で、けじめとして俺も獣人たちに詫びを入れることにした。


見捨てようとしてゴメンね。

とっさに我が身の保身に走っちゃってゴメンね。


獣人たちは快く許してくれた。

やっぱり気の良いヤツらみたいだ。


それどころか逆に恐縮されてしまった。

「そんな!頭を上げてください!」と大慌てで恐縮されてしまった。


んで、こっからが本題な。


獣人たちの頭の上に

実に見覚えのあるピンクのハートが浮かんでた。


予想通りコイツらも”てなづける(歌)”で懐柔できる「友好的な」生き物ってわけだ。


できるなら保護してやりたい。

だってコイツらチョー弱いんだもん。


さっきからエドガーと押し相撲(?)っぽいことやってるんだが、余裕で競り負けてやがる。


エドガー子犬サイズだぞ?

獣人も相当ちんまいけど、それでもエドガーの倍以上はある。


なのに負けてる。

容赦なく全敗してる。


もうちょい具体的に描写するとだな


まず獣人がエドガーの顔に両手を付く。そしてお互いに押し合う。しかしすぐに押し返されて、余裕で負ける。1秒かかってない。


あ、今度は2人がかりでいった。

押し合う。やっぱり余裕で押し返される。2人同時に尻もちつく。やはり1秒かかってない。


こんなか弱い生命体を野生に放置できるかよ(真顔)


つー訳で、近くでシャドー押し相撲に興じていた獣人(恐らく、エドガーに勝つための影練と思われる。でも意味ねぇから。そんな小手先の対策で勝てるような力量差じゃねぇから)に”あいさつ(歌)”を試してみた。


当然成功。

「キャン!」と可愛らしいひと吠えで「てなづけモード」に入った。


続いて”てなづける(歌)”を実行。

当たり前のように成功。


ピンクのハートがパチリと弾けて、無事手懐けが完了した。

相変わらずお手軽。そしてチョロい。


ふと見ると、残り4人の獣人たちが一列に並んでた。


まさかの順番待ちである。

手懐けられる気マンマンなのである。野生度0なのである。


しかし、その心意気や良し。


諸君らの懸命な判断を尊重し

我が家の一員として迎え入れてやろうではないか。


この後むちゃくちゃ手懐けてやった。

んで、全員手懐けた後の記念写真がこれな。


[集合写真:  俺+ウィリアム+エドガー+獣人たち集合写真]


こうして見てみると

我が軍もかなりの大所帯になったな。


あ、1個だけ言い忘れてたわ。

写真見てもらえれば一目瞭然だが、獣人5人の見た目はほぼ柴犬だったぞ。


ウィリアムやエドガーとは違う、圧倒的な親しみやすさ。そしてモコモコ感。

見てるだけで心がほっこり温まるようなヤツだぞ。


これからよろしくなー。



■なるほどな

・異世界2日目 10:20

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事件は柴犬みたいな獣人(以下、シバ)の命名後に起きた。


手始めに、一番身体が大きいシバに「シバ丸」と名付けたところ

突如として俺の頭にシステムメッセージが鳴り響いた。


”しょくぎょうを せんたくしてください”


わーお。


メッセージが流れると同時に

シバ丸の頭上にシステムウィンドウ風のボードも現れた。


再び、わーお。


ボードには職業名と思しき単語がリストアップされてた。

上から読み上げるぞ。


・工兵

・衛生兵

・補給兵

・支援兵


なるほどな。

こういうシステムなのね。


オッケー、オッケー、把握したわ(真顔)

その上でツッコませていただきたい。


なんだよ職業選択って。

唐突すぎるわ。どういうシステムだよ。


いや、状況は理解できてるんだ。

これから何をすりゃいいかも普通に分かる。


職業を選択する。

ただそれだけのこと。


システムウィンドウに記載された4つの”しょくぎょう”から1つを選べば任務完了だ。

わーお。簡単。すっごくお手軽。シンプル素晴らしい。


でもこれ取り返しがつかなくね?

もしかしなくても、シバ丸の今後を左右する選択肢だよなコレ。


間違っても「んー、じゃあコレ!」みたいな軽いテンションで選んでいいもんじゃねーだろ。


そもそも俺が決めんの?

責任重いわ。


「シバ丸、お前どれがいい?」

「ワンッ!」


本人の希望をヒアリングしたかったがダメだった。


”ご主人様が素晴らしい職業を選んでくれる!”

と心の底から信じ切ってるっぽい。かわいいヤツめ!


さて困ったぞ。

どうすっかなぁ……。


改めてシステムボードを確認してみた。

と、ボードの右下にチカチカ点滅するボタンがあることに気が付いた。


ボタンにはこう書いてあった。


【ヘルプ】と。


ふむ……。

徐にタップしてみる。


『最適正兵科:工兵』


なるほどな(2回目)

こういうシステムなのね(2回目)


オッケー、オッケー、マジ把握したわ!(歓喜)


意外とチョロいぞこの世界。


いいじゃん。いいじゃん。

こういうヌルゲーはウェルカム of ウェルカムだぞ。


つー訳で。

シバ丸には【工兵】の職に就いてもらうことにした。


残りの4シバもこの調子で頑張った。

マジ【ヘルプ】ボタン様々だった。


以下が、シバ全員の名前と職業の一覧表な。


シバ丸:工兵

シバ吉:工兵

シバ山:衛生兵

シバ助:補給兵

シバ太:補給兵


[シバ集合写真: 名前+職業をGETしたシバファイブ (もふもふ)]


あ、写真にも写ってるが、職業を設定すると職専用の装備が支給されるっぽいぞ。

工兵ならスコップ、衛生兵なら薬箱、補給兵は肩掛けのカバン、って感じだな。


職業を選択した瞬間、どこからともなくシュイーンと出現してたから

見た感じは召喚系のスキルっぽいんだが…まぁ実体はよー分からんかった。


けど、別にそんなことはどうでいいじゃん。

シバ達が喜んでくれた。それだけでいいじゃん。


各々の専用装備を、お互いに自慢しあってるシバ達がかわいかったんで

最後のその様子を紹介して終わりたいと思う。


[シバ丸写真: スコップを地面に突き立てビシッとポーズ!]

[シバ吉写真: シバ丸の隣に並んで同じポーズをキメるシバ吉]

[シバ山写真: 薬箱パカパカ。箱の中身を見せる。その後改めてパカパカ]

[シバ助写真: カバンを開ける。カバンの中見せる。カバンを閉じる]

[シバ太写真: カバンを開ける。カバンの中を見せる。カバンを閉じる]


終始ハイテンションで戯れるシバ達は

スーパーウルトラデラックスハイパーメガドンかわいかった。

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