第7話 『呼び出し』

 そうしたわけでございますので、母の体調不調は、いつものことでありました。


 しかし、職場に突如、呼び出しが来るようになったのは、さて、いつのことでしたか。


 はっきりと覚えておりますのは、ちょうど、宝塚線の電車が大事故を起こした時期の少し前頃でありました。


 それ以前から、ご近所からの苦情は、すでに、出始めておりました。


 突然、母から電話がありました。


『かあちゃん、これから、旅に出る。遠くに行くから。じゃあね。』


「ちょっと、まったああ~~~~~!! どこに行くって?」


『だから、とおく。誰も知らないようなところ。もう、荷物はまとめたから。じゃね。』


「まった、まったあ~~~~。帰る。帰るから、それまでは、いてください。」


 帰ると言っても、この頃は、片道50キロくらいの通勤。


 高速使っても、1時間までは行かないけど、高速以外に手こずったりするから、そ

う簡単には帰れない。


 ただし、高速代は出てないから自腹。


 当時の職場では、No.1のしたに、管理と窓口のNo,2がふたりいて、そのひとり、というあたり。


 『とにかく、旅に出るとか言ってるから帰る。』


 と、言い残して、仕事のことは一切無視で、飛び出したのでありましたあ。



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