ただの日記
今尾理
第1話 三千円をとられた日
私はとあるイベントの派遣バイトに行った。荷物置き場に荷物を置いておいたら、財布から三千円が抜き取られていた。財布には二千円が残されていた。この二千円は優しさなのか、なんなのか。そんなことを思いながら寝ようとしたら、こんな物語の一部が思い浮かんだ。小説描いてみたいなあ。
僕はそれまで何不自由ない人生を送っていて誰かに何かをとられたことなど1度もなかった。スポーツでも勉強でも他人より秀でていた僕はいつだって望み通りの成績を手に入れた。
ただ3千円をとられただけ。それだけなのに僕はこの事実に関して今まで感じたことがないほどの憤りを覚えた。そうして僕は今まで自分が他人から奪ってきたかもしれないものについて初めて考えた。とられる側の気持ちはとられた者にしか分からない。僕はこの経験は3千円以上の価値があると思った。この感情は僕が人生で体験してきたいくつかの感情のどれにも当てはまらなかった。どこにこの怒りをぶつければいいのか分からない。ぶつける明確な相手はそこにいない。
ただの日記 今尾理 @0522-5
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