第3話 お化けは激怒した

お化けは激怒した。


お化けは「普通」という言葉が嫌いだ。大っ嫌いだ。


小学校の先生が、上手なおんぶのやり方を聞いた子に

「普通は親戚の子をおんぶしたことがあるものでしょ?」と言いやがった。


その子に教えてあげなかったことが憎いんじゃない。

先生の態度が気にくわなかったんじゃない。


親戚の少ない子もいるだろうに。

親戚の中で自分が最年少の子もいるだろうに。


「普通」という言葉で全ての弱い者をぶん殴ったのが許せなかったのだ。


ああ、ぼくに身体があったなら。

この世界のすべての「普通」という言葉を、マッキーペンで塗り潰してやるのに。

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