第2話 はじめて好きになった人

好きな人ができた。


彼女はよく考える人だ。

「普通」という言葉とは正反対で、自分で考えたことしか信用しないひと。

そんなに考えたっていいことなんて何もないというのに、いつも何かを考えている。

彼女が何を考えているのか考えるのが、ぼくは好きだ。


それでも彼女はよく騙される。

彼女にはお姉ちゃんがいる。とってもいたずら好きのお姉ちゃんだ。

いつも彼女をからかって、嘘ばっかり教えるのだ。


この前だって「たこ焼きに使われるたこの足は4本足」だなんて教えるもんだから、

彼女はすっかり信じてしまって半年も「4本足のたこ」がいると思っていたのだ。


「4本足のたこだっているかもしれないじゃん!」と恥ずかしがりながら怒る彼女はとっても面白かった。

そう、いるかもしれない。ぼくもそう思う。


彼女をそばで見ているのはとっても愉快だ。

彼女がこれからもずっと存在し続けてくれることを祈る。

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