第5話 人と刀の関係性 - 守り守られ生きていく

先日、三島へ行ってきました。


目的は佐野美術館の『REBORN 蘇る名刀』。


初めは面白そうな展示だけれどちょっと行けないかなと思っていたのですが、


日帰りでも行ける、お散歩にも良い町との情報をいただき三島行きを決意。


折角だから平日にゆっくりと行きたいなと思い


お仕事を調整して休みをとり、前乗りしました。


仕事を終えて真っ直ぐ東京駅へ。


早めに予約していたこともあり、お値段変わらなかったので


グリーン車です。


しかもほぼ貸し切り状態でした。


#うちのひっかけぷちを見てくれ


事前に得ていた情報で、田舎です、なにもないですと聞いていたので


そういう想定をして行ったのですが、


地元北海道の「なにもない」を想定していった為、三島駅に降り立ってみたら


全然都会でした。(笑) コンビニがある!


まずはチェックイン。ドーミーイン三島さんへ。


系列初めて泊まったのですが、テレビで大浴場や食堂の混雑状況がわかるの素晴らしいですね。


潔癖症で大浴場は修学旅行でやむを得ず入った以外避けてきたのですが


今回はお部屋にはシャワーブースしかついていないし


折角だからと大浴場へ行ってみました。


最近の大浴場は洗い場に仕切りもついているし、2、3人しかいらっしゃらなくて


のんびりできました。


流石温泉、ほかほかに温まりこの夜は短時間睡眠ながら熟睡。


水と言えば水道の水も美味しくて嫌な臭いも味もなく、


顔を洗うときでもストレスがなくて、水の綺麗な田舎出身者としてはとてもありがたいです。


都会だと時々口を濯ぐのも嫌なときがあるもので…。


お部屋が最上階だったこともあり、日の出が綺麗に見えました。


早々にチェックアウトしてまずは三嶋大社へお詣り。


御朱印も頂いてきました。


中には神鹿園が。大正八年に、町の発展を顕著にする為奉納したいという


三島呉服木綿商組合さんの尽力で、


奈良の春日大社から譲り受けた鹿さんたちだそうです。


町の中は豊かに水が流れていて、鴨や鷺がいて穏やかな雰囲気でした。


これは噂の先日風邪を引いてお休みしていた子たちでしょうか。


10時の開館に合わせて佐野美術館へ。


10人ほど並んでおられましたがほぼ女性でした。審神者率も高いのでしょうか?


中にはパネルもあって、写真撮影している方もちらほら。


売店に甘酒があったのが面白かったです。


さて、お楽しみの刀の展示。


比較的空いていたので順繰りに並んでじっくり見ることができました。


単眼鏡を持参していたので、地鉄や細かい傷などもよく見えます。


単眼鏡、2、3人の方がお持ちでしたが是非広くおすすめしたい。


美術館や博物館、お芝居を見る時などにも大活躍しております。


小さくて軽くて片手でピントも容易に合わせられるし、


最近はとうらぶコラボやカラーリングのちょっと可愛いものもありますので


本当におすすめです。


Twitterで、「エモい」という感想を事前に見かけていたのですが


確かに一言で言うならエモい展示でした。


大坂城落城、明暦の大火、関東大震災などの数々の困難に巻き込まれ、


刀が割れ、焼けただれ、ぐにゃぐにゃになったり鉄の塊となったりして


元はどんな刀だったかわからないものもあります。


そうなってしまって捨てられたものもあったでしょうが、


そんな姿になっても尚保存されていた刀もあった。


捨てないでいてくれた人がいた。


そして、焼き直しという手法を用いて再生し、守り伝えられた刀がある。


この事実だけで感無量でした。


ぱっと見では美しく見える刀も、よく見れば刃こぼれや深い傷が残り


その刀がどんな目に遭って今ここにあるのかと思うと


申し訳ない気持ちや素直に悲しい気持ち、そしてよく残ってくれたねという気持ち


言葉にするとなんだか安っぽいかもしれませんが


胸に迫るものがありました。


刀は人を切る為のものではない。人を守る為のものです。


「刀は武器です。しかし守り刀として作られたものもあります」


こういった趣旨のことはよく耳にします。


しかし、私は少し違和感があるのです。


道場で師匠と向かい合うとき、真剣ではなく木刀であるのに身が竦みます。


犬だったら尻尾を股に挟んでぶるぶるしたくなるほど、立ち会っただけで怖いのです。


本当に膝が笑い、身の毛がよだつのです。


それが強い人の力です。


そこに在るだけで無用の争いを避けることができ、周囲に安心を与えることができるもの。


刀は人を切る為のものではない。人を守る為のものだという意図はここにあります。


抑止力と言い換えてもいいのかもしれません。


人が刀を作り、刀が人を作ります。共に鍛錬し、修羅場を乗り越え


刀が人を守ってくれます。


単に切り伏せて守ってくれるだけでなく、傍にあることで力になってくれますし、


共に修行した日々が自信になってくれます。


そしてまた人が刀を守り、伝えていくのです。


焼けただれて曲がった刀を残そうという気持ち。


そして残して焼き直しをしようという気持ち。


焼き直しにはもちろんコストもかかりますし、


直したいと思うほどの刀への愛と、直すほどの価値、それを信じる気持ちも必要です。


再生された刀を多くの人が見たいと思って集まれば


焼き直された刀たちの価値もより高まるでしょうし


そうなれば次の世に残り伝えられていく可能性も高くなります。


少なくとも平成の次の元号の世には、刀がこうして


まだ守り伝えられていくのだと思えたことがとても嬉しかったです。


また、常設展示室「男の粋(いき)―装身具にみる」も楽しみのひとつでした。


筥迫や印籠、矢立などの小物がとても好きです。


レプリカをグッズとして販売してくれたらいいのになといつも思います。


見事な細工が、見ているだけでワクワクします。


図録も購入しました。


鞄のノートPC用ポケットに入れて大事に持ち帰ったつもりでしたが


表紙にちょっと傷がついてしまい悲しい。


でも繰り返し見ている内に大なり小なり傷はついてしまうと思うので


仕方ありませんね。


美術館の後は市内を散策。


カフェ・バンマリさんでランチを頂きました。


とっても素敵なお店でした。


楽寿園も伺い、郷土資料館や動物園を見て回り、


久し振りにのんびりできて楽しい旅になりました。


今回初めてスマートEXを利用したのですが、とても便利ですね。


本当に改札を通れるのかな…と往路は少しドキドキでしたが


当然ながら問題なく乗れました。


みどりの窓口に行かなくても良いし


手元に紙の切符がある訳ではないので


変更も簡単でとっても楽ちん。


またJR東海を利用する時には使いたいです。


郷土資料館が思ったより早く見終えられたので


復路は少し時間を早めてひかりでサクッと帰りました。


三島はちょっとお洒落な路面店が沢山あって、お茶をするにも目移りしました。


京都白川や東京の日野用水、長野の白川郷など、


水が流れる町というのはとても素敵です。


どこか心が落ち着きますし、空気も澄んでいる気がします。


また機会があったら行ってみたいです。


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