第3話 150年という節目

2月5日は、旧暦の1月1日。お正月です。


新月。そして梅がほころんでいます。


旧暦で過ごすと、暦と季節がぴったり合っていて、本当はこんな空気感だったのだなと


度々気付かされます。


春の気配が感じられる新春です。


さて、先月の新暦のお正月。


2019年の初詣も、高幡不動尊へ参りました。


土方歳三没後150年ということで、幟や看板が設置されていました。


箱館戦争が終わったのは明治2年5月18日。


グレゴリオ暦の1869年のことです。


土方さんが戦死したのは5月11日。


故郷に対し、「何ひとつ恥ずることなきゆえ、どうかご安心を」という言葉を残した土方さん。


仲間と京都で別れ、江戸で別れ、流山で別れ、会津で別れ。


そうして当時外国と同じ感覚で扱われていた蝦夷地へ渡ることになりそこで戦い、


冬を越し、どんな思いでいたのだろうかと考えると


なかなかうまく言葉になりません。


先日所用で靖国神社へ行きましたら、こちらも創立150周年ということで


記念の御朱印や各種記念行事が予定されているようでした。


昨年2018年は、政府主導で明治150年としてイベントがありました。


明治維新後150年としているところもありました。


ただいずれにせよ少なくとも自分の周りでは、明治150年については


あまり盛り上がっていなかったように感じています。


自分としては明治維新それ自体に多大な疑問を感じており、


その後の政治の流れも疑問があります。


明治150年を祝う前に、解決すべきことがあるはずだと思うのです。


そのあたりについては、


星亮一・安藤優一郎 『東北を置き去りにした明治維新 戊辰戦争の謝罪なしに、日本の融和はない』


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などの本に詳しいかと思います。


明治になってから150年のその翌年が土方さん没後150年というのが


つまりまだ戦っている人がいるのを置いていて、明治政府だ、新しい時代だと


喧伝してきたのだということがよくわかると思います。


そもそも明治の元号にしたのは慶応四年9月8日。


明治元年と改元し1月1日に遡って適用することとしました。


つまりこれも、戊辰戦争の真っ只中。


この日も会津飯寺で戦闘が行われていました。


この頃の土方さんは部下には慕われ上司には嫌われていたようです。


何故なら戦場に出ない人には厳しい態度をとっていたそうで。


お偉方にとっては、農民上がりの癖に態度がでかいという感じだったのでしょうが


土方さんからしたら実戦経験もなく部下の先頭にも立たず机上の空論を押し付けてくるような人に


命は預けられないと思うのも当然な気がします。


土方さんは榎本武揚と仙台藩に交渉を重ねていましたが仙台が降伏し、


庄内を目指すも庄内も降伏し転戦が叶わず、


新選組と幕府軍は有志を乗せて蝦夷地を目指すことになります。


総勢約2000人。


将軍侍医だった松本良順は蝦夷行きに反対していたのですが、実は土方さんもそうでした。


でも、


「自分が反対だと言えば皆の士気が下がり脱走者が増え、榎本の戦力を削ることになりかねない。


そもそもこの戦は300年来の幕府が倒れようというのに


一人も腕力に訴え死ぬ者がいないのを恥じてのことで、勝算は無い。


君は前途有望なのだから江戸に帰ったほうが良い。


自分のような無能な者は決戦に挑み、国家に殉ずるのみだ。


ご好意は有難いが、俺は蝦夷地へ行きます」


と語りました。


松本先生は仙台で降伏しています。


勝算は無いと言いながら戦いに手を抜くことはなく


箱館へ渡ってからも土方さんが率いた隊は負け無しだったといいます。


遺品を故郷に届けさせるという名目で自分付きの小姓たちを外国船に頼んで脱出させ


弁天台場に孤立した仲間を助けようとし


勝ち目がない戦いを冷静に見極めつつも最後まで正に死力を尽くした土方さん。


新選組の歴史を学ぶとき、私はいつも土方さんに共感してしまうのです。


高幡不動でひいたおみくじに書かれていた漢字は、『命』でした。


生きることが奇跡の連続 毎日生まれ変わったように丁寧に生きよ。


忙しさにかまけて流されてしまうこともありますが、


日々できる限り丁寧に生きていきたいと改めて思うのでした。


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