日本人が間違えがちなピンイン

 私が運悪く貴様らを監督する事になった中原恵一だ!

 貴様らを歓迎する気は毛頭ない! 今の貴様らは精々ヘタクソな中国語の発音で失笑を買うことしかできない、ただの家畜! 家畜以下の存在だ! そんな糞の役にも立たん貴様らを私が5分かけて鍛え上げる! 巨人ちゅうごくじんと戦う術を叩き込んでやる!

 さあ、貴様もピンインをマスターして残念中文を脱することだ!


●nとng


 これは日本人が韓国語を勉強するときも問題になるのだが、anとangの区別は日本人にはかなりシビアなようだ。例えば日本人が「台湾 tai2waN1」を発音するとtaiwaNGのようになってしまう方が多い。Wan1とwang1は中国語母語話者の耳にはマッタク違う音に聞こえるのだ。

 日本語にもこの二つの子音はあることはあるのだが残念ながら区別されない。例えば「案内」と「案外」と言ったとき、前者は-nで後者はngになる(an-NaiはN、ang-gaiはGという具合に後続する子音によって決まる。そして日本語の語末の「ん」、例えば「行きません。」とか言ったときの「ん」は微妙な発音で-nでも-ngでもない)。


 どうやっても違いが分からない、という方のために実際に自分で発音してチェックするやり方を教える。

 さっきの


「案内 あんない」


「案外 あんがい」


 をゆっくり、はっきりと、大声で言ってみてほしい。


 そしてそれぞれ「な」と「が」の前で一旦舌を動かすのを止めてみよう。すると不思議。舌が違う位置についているではないか。

 前者の舌が前歯の後ろにつくのが-n、後者の舌の後ろ部分が盛り上がるのが-ngである。


 これはひたすら練習有るのみだなぁ。


●huとfu


 はぁ……。日本人はいつになったらhuを発音できるのだろう。huang2(黄)とfang1(芳)をカタカナ表記するときに両方とも『ファン』になってしまうせいで同じ発音だとカン違いしている日本人が多すぎて訂正するのが疲れる。

 日本語の「ふ」はhuでもfuでもない、世界的に見てもかなり珍しい音。そのせいで、中国人は日本人が「胡同 hu2tong0」とか言おうとしてトンとか言うと「Futong? なんだそれ?」という感じになってしまう。


 hとfの違いは、簡単に言うと唇を使うか使わないかという話である。

 英語の授業で発音練習をするときにfは唇を軽く噛む感じで、とか教わったと思うが要はそういうこと。

 「」って言ってみて自分でも分かると思うけど、唇使ってないでしょ? 同じことを「フ」でやるとhuになる。そして中国語の母音のuは日本語よりも唇をまるーく突き出して出す音なのでそこも気をつける。

 そうすればホラ、huと言えるわけだ。ね、簡単でしょ?(脅迫)


●e


 『エ』じゃねえんだよ!!! Deを「デー」とか読まないでくれ!!

 これはカタカナで書けない『ドゥァー』みたいな音だ。目じゃなくてちゃんと耳で聞いて覚えてくれ!


●yan


 ヤンじゃねえ!!!『イェン』だ!

 jianも『ジエン』だ! 中国語一年も勉強してyanを『ヤン』って読んでるヤツが正直許せない。


●zi ci si


 ジーじゃねえ!!

 ズー、ツー、スーだ!!


 そう、ピンインではzi ci siのときだけ母音が口を横に開く「ウー」のような音になるのだ。

 しかしji qi xiはジー、チー、シーだ!!(苦笑)


●yu


 『ユ』じゃねえ! Üだ! ドイツ語のÜberraschungと同じだ!

 月 yue4も『ユエ』じゃねえ! 実は『üe』なんだが、ピンインが作られたときに子音がないüはyuで代用されるって決まったんだ!!


 なんでかって? 知るか! 決まっちまったモンは仕方ねえ!

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