第138話1月9日おしまいにしてくれない人たちがいる

お医者面談

状態確認と今後の到達について

退院時期が3月まで伸びそうということで落胆する母

俺もああとは思ったがおくびにも出さず

肯定的に話を進めた

信頼が生まれているお医者たちに囲まれて

現状の継続であと2カ月をすごすことと

中途で帰宅して新たに通所リハビリで信頼関係を築きつつ

新しい生活を築きつつ

回復していない筋力のまま

破壊されたバランス神経をフォローする技術のないまま

歩き方のフォームが完成されていないまま

そんな生活はあまりにも危険

転んで骨折でもしたら再びリハビリ

最悪、寝たきりになってしまう可能性だってある

とはっきり告げた

母はかなりショックだった様子だけれど

それくらい言わなくては納得しない

言った俺も、かなりきつい

内容自体はウソではないから


この日、ひと月分の支払いをした

面談をして帰宅

軽食を取って公民館へ団体の手続きへ

そこから郵便局

一時帰宅して保険の更新

約束した来客を迎えたのち再び外出

所用を済ませ、簡単に買い物

自宅に戻り明後日用の資料作り


と、枠としては休日なのに動きっぱなし


ホントにここ3カ月弱

完全にお休みだった日がない

まああったとしても気が休まらないので

結局どこか外出してしまうのだろうとは思う


多くの人が、母を待っていてくれるといってくれる

帰ってきたら、色々とやってもらいたいことがあると

嬉しい

全部おしまいになったのと

全部なくなったのと狂ったように叫んだ母の

ぎゅうと絞って小さくなった黒目を見開いた

鬼の顔を覚えている

おしまいにしてくれない人たちがいる

だからもうちょっとだけ戦おう

そんな気になる



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る