第126話12月31日 誰もいない 静かな無人駅のホームでぶつぶつと しゃべっている

20時40分頃 病院を出る

極力明るく色々な話をする

ただできる話題が少なくて難しいところ

見ていると どうも 杖歩行がギリできるかできないか といった 何時に着地しそう

基本車椅子生活

そんな感じ

ここから1月で 歩けるよう回復するとは思えない

実際 暗鬱とした 空気はぬぐえない

母もそれは薄々と集中と 感じているようで 以前のように歩けたらどうする回復したらどうすると言った 話があまり出ない

色々な約束事も必ず行くだったのが行けたらいいなになってきている

大晦日

仕事が終わってから 病院へ飛んできた

弁当食うのはなんとなくしんどいので パンとおにぎりを買って

それから ちょっと美味しい生クリームとフルーツが乗っかったものプリンを2個

母は夕飯が終わっているのでロビーに連れ出してプリンを食べさせながらおむすびを食べる

結構な勢いで ちょっと悪口大会

それが俺の昔の発言を呼び起こすことに

俺はこの家ではいつもニコニコヘラヘラ 笑っていないといけねえのかと

母に愚痴ったことがあるんだ

怒ったわけでも責めたわけでもない

俺がちょっとでもイラッとした態度をとると家の中がごちゃごちゃになる

父が暴れ弟が暴れ母が泣き叫ぶ

だからずっとニコニコヘラヘラとしている

ほんの少しでも不機嫌な顔をしたり イラッとすると

ぐちゃぐちゃになる

分かっているので それぐらい平気ではあったんだけれど

当時人間関係的なこと 卒論執筆もろもろでいい加減 俺も 追い込まれていた

そんな状態でちらっと話を聞き流したんだよ

流したらそれが原因で むちゃくちゃなことになった

ガラスが割れ食器が飛びかい

その無茶苦茶なことが一通り治った後 母にポロリとこぼしたのがその一言

言うべきじゃなかったと思うのだけど やっぱり若かったんだろうなと思う

言ってしまったよね

母に言ったところで仕方がない

母はひたすら家を繋いで泣き叫びながらも頑張っていた

そんなのを体験してるから

家族のつながりとか家族のきずなとかってのに

不気味さを感じるんだろうね


ともかく

こんな家の事情があってそれを分かっているからこそ

誰かへの愚痴だとかをストレスなく共有できるんだよ

だから、簡単にわかったよって言ってもらいたくないんだ

前にも言ったっけ言ったね

かといってさとしても欲しくない

要は共有して欲しいんだけど

そういうこれまでの経緯を 共有していない人とは 今の思いも共有しきれない

だってわからないからね

なんで イラッとしたのか

なんで愚痴をこぼしているのかが

仕方がない ことなんだけど


そうやって少しずついろんな人から 遠ざかっていった

それもまた止むなきことなんて大晦日の 夜

ポツンと 誰もいない 静かな無人駅のホームでぶつぶつと しゃべっている

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