第99話12月6日人疲れ

朝 病院に向かおうかどうしようか迷ったのだけれど

体があまりにも重くて 動かなかった

どうにも頭が痛い

足も腕も重く 舌のしびれがあるような

やたらと喉が渇く

顔もなんとなくピリピリと神経痛のような 痛みを感じる

かなり 俺の体も 壊れてきている

こういう状況から 突然ろれつが回らなくなったり右側に力が入らなくなったり

母はその流れで倒れた

俺も 同じ轍を踏んでいるような気がする

時折 右手に力が入りにくいことがある

何かの前兆のような気がして怖い

死んでしまうことにどれほどの未練があるのかと思うと

あるよな

未練も後悔も山ほどある

けれどもだ

その未練は解消できるのかといえば 絶対に解消できない

後悔も どうにもならない

やり残したことがあるかと言われたらあるのだけれども

それを 消化できるかと言われたら それも絶対にできるものではない

だとしたら どうしても生きなくてはならない意味はないのだ

かといって 積極的に死にたいとも思わないのは

たとえば母を残していくわけにもいかなかったりするし

当面面倒を見ている子供たち に変なトラウマを残すわけにもいかないという思いもある

追っかけている スポーツ観戦やネット番組については

もちろん 気になるものの まあ仕方がないかなと思うことはできる

実際 今 母がこうなった今 腹から楽しんで観戦できるか ネット番組に参加できているか と言われると できていない

する気がおきないというのが現状

死んでしまえたら楽になれるのかなという安易な発想も頭をよぎる

楽になるならないという話ではなくてそれは 面倒事から逃げ出したいという気持ち

母を面倒ごとだと思っているわけではない

面倒なのは各種手続きであったりなんだり

その辺りの 見通しと言うか予定と言うか

めんどくさいそれ

やるべきことが出揃ってもくもくと動けばいいのであれば なんとでもできるけれど ちゃんとした書類を揃えてとか いつまでにこれをこうしてとか そういったものに迫られると そしてそれがいつまで続くのか分からないと

かなり厳しい

例えば 年内 一杯であるとか 何月までであるとか

もしくは今から一週間

があっとやってしまえば、後は母の退院まで 特に面倒な手続きはないとかね

そういうのであればいいのだけど

ずっとずっと あれをしなきゃいけないこれをしなきゃいけないに追われる

自分の生活の中でもしておかなきゃいけないことが山ほどある

もちろん仕事だとかバイトだとか 蔑ろにできないものがある

全部を一人で判断して 回すというのは やっぱり心労が甚だしい

訂正すると一人でではなくて 一人ではあるんだけれども 母の意向というものも加味 しなきゃいけない

でそれをいろんな人に判断してもらわなきゃいけない 判断っていうか審査だよ ね

そういうのって 思いの外 しんどい

小せえ話だなぁと思うかもしれない

けれども すでに メンタルはボロボロになっているわけで

家にいるだけで めまいがしたり嘔吐感が襲ってきたり

思わずふらふらと近くのドラッグストアあたりに遊びに行ってしまったり ね

そうじゃなければ 布団にくるまってじっと寝てしまったり

寝てはいないんだけれども ぼーっと意味もない気持ちの悪い妄想にふけってみたり

言い始めたらきりがない

そこに持ってきて四角四面な それこそメンタルをすり減らすよう 手続きだなんだが押し寄せてくる

そこに例えば 弟が様子を観にに来るとかなってくるとその対応もある

勝手にやっといてはさすがに難しい

まして母の外泊に手伝いをしてもらうなどとなると そこでまた一つスケジュール調整が入ってくる

母のために何かをしてあげることは全然構わないんだ

やるということになった時の 大きなストレス 心労 現場での自分への負荷

そういったことを考えると 限界を 突破して余りあるなあと

こういったことをこれまでは母と愚痴を言い合ったり 悪口を言いながらね

なんだかんだやっつけてきたわけだ

それが今相方がいないもんだから 相談相手もいなければ確認相手もいない

全部一人でやる

一人でやるぶんにはね ぶっちゃけ いいっちゃいいんだけど

それに対して母やお医者や行政以外の人が色々と 評価をしてくる

それがなかなかダメージ

ちゃんとお手伝いをしてくださる方とか のアドバイスをね 嫌だと言ってるわけじゃない

それはすごくありがたい

そうじゃなくて 横から口を出すような形で

あれはこれが正解だったよとか ある程度の決定事項に対して こうした方がいいんじゃないのとか 本当に横槍という言葉が正確に表している、そういった 周囲のノイズが ものすごく辛い

もちろんその中に良いアドバイスもあるのだろうけれどもう決定してしまったことに対して 色々言われてもね

だったらその前段階からしっかりと絡んで 一緒に 作業を何なんなりしてちょうだいよと言いたくなる

そうやって日々付き合ってくれてる人達のアドバイスや 辛辣な言葉というのは しっかり受け止める

そうやって横槍であろうが何であろうが一見正しそうに見えることであったり 現場の状況を考えていないにしても正論であったりすると 言い返すことは難しいし

そもそも言い返したりしたくないわけですよ

力を使いたくないから

人と口論している余力がないんだ

その口論に 勝ったところで 何が残るんだと言うと何も残らないし

だから負けていいやと思って 頷いていると 今度はずっと何やらかにやら言ってくる

それもまたストレス

そういった側面もある

正論というのは強いよね

でも現場に入るとさ

その正論の根底と言うかね根幹が違ったりするんだよ

前提か

前提が違ったりする

今現在のことに対しては正論なんだけれども

そこに至るまでの過程であるとか この先のことであるとかを考えると 正論ではあるんだけれども それを選択しなかった理由というのもあるわけで

ところが正論を押してくる人というのは

その、こちらの理由というものを聞いたところでそれは分かるけれどもこうすべきが正解だよと 絶対に自分の意見を変えない

そういう人が本当に多い

なのでまあ 人疲れしている

物理的に体力が どんと落ちている

メンタルもグラグラ

やらなきゃいけないことも押し寄せてくる

だから優しくしてくれとは言わないけど 空気は読んでほしいよね

自分がどんな顔をすればいいのかぐらい分かってほしいなと思う

っていうのは しっかりと関わってくれて いる人たちへのことではなくて 本当に事情をちょっとかじった人たちがやいやい言ってくるような

そういう遠い距離から の介入へのイライラだったりもする

ぐずぐず喋っているうちにそんなことを思ったので 言ってしまった

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