第100話12月7日作り上げた部屋

今日は1日何も予定がないことにした

団体の練習も翌日回しにし 家の片付けをする

2階の天井が剥がれてきて穴が開きつつあったので 脚立をあげて補強 木工用ボンドと釘 とんかちが見つからなかったので石で打ち付ける

母の愛猫のトイレを綺麗に掃除

ご飯食べるところ周辺も 整理してあげる

簡単に料理をして から外出 仕事用の靴を探しに リサイクルショップ に向かう

いい加減普段着用の セーターがないので 目をつけていたものを購入

母のための DVD を探すけれども良いものがなかった が お笑いの DVD があったので 買っておいた

喜んでくれれば嬉しいけれど今お笑い系等は受け付けないと言っていたのでどうしようか不安

漫画本の半額セールをやっていた

いつもだったら飛びつくのだけどさすがにその余裕はない

とはいえなんとなく一回り

一冊だけ ずっと読みたいなと思っていたものがあったので手に取ってみる

家に帰って楽しめるかどうかはともかく なんとなくでも手に取ったというのが 俺にとって悪いことではない気がしたので 買って帰った

そこからお水をもらいがてら食料品を買い出しする

お目当てはマーガリン それから 魚系統

母が好きでよく買っていた冷凍のビンチョウマグロのパックがあった

格安で多く入ってるので俺も好物

こういったものはなかなか買うのがしんどい

というのも やっぱりね

どうしても母が好きだったとか母と一緒に買ったとかというものは

もうこの時点でトラウマです

でもまた母と楽しく食べれる日が来るだろうと

予祝ということで 購入してみる

その他 ベーコンのショルダー これは朝のパン用

それから 子供たち用の お菓子

安いバターロールが売っているのでそれを二つ

他にも何かないかなと一回りするけれども 無駄遣いはしないようにして

できれば野菜が欲しいのだけど 特売日ではないのでちょっと手が出ない

その後100円ショップで母リクエストのスケッチブック2冊と イヤホンを買う

こないだ買ったイヤホン は壊れたか何かしてちゃんと聞こえないらしいので

その後帰ろうかなと思いつつ 今後あまり買い出しに出なくて済むようにと1 kg 500円のウインナーを求めてもう一店のスーパーへ向かう

距離的には 離れていないけれども自宅へ帰るコースからは大きく離れてしまいしんどい

野菜を見ると白菜が半額だったので放り込む

お目当てのウインナーを買う

チョコペーストが10円安いのでこれも買っておく

お昼ご飯用に ものすごく大きいレンコンメンチカツも

翌日の夕ご飯用のグラタンコロッケと込みで 58円の消費税なので63円か

大きさが 通常の2倍ぐらい ってことを考えるとなかなかリーズナブル

そこから自宅まで 黙々と帰ってくる

10時ちょっと前に出て13時過ぎに帰ってきたのでちょっと予定としては時間を食った感じ

2時間ぐらいで帰りたかった

帰ってきてから 食事

その後で資料作りに入る 予定だったけれども さすがにもうバテバテで 一休み

少しお昼寝

お昼寝の最中に母から メール

今日は訪問者がいなくてとても寂しいと 訴える

その後電話を入れたけれどもすれ違いで出れなかったみたい

4時ぐらいにむっくりと起き上がって 母の猫にご飯をあげる

資料 作りをしてから お夕飯を作る

玉ねぎスープに白菜を少し入れ シュウマイを並べる

キャベツの千切りもぶちこむ

イワシの缶詰を開ける予定だったけれどもそれは取っておく

郵便局から配達物が届いていたみたいで電話をかけ直す

結構怒られた

いつも一発で受け取ることができていないのでピリピリしていたみたい

申し訳ないけれども 家にいつもいられるわけではないので

そんな一日を送って気づけば 普通に人と会話をせずに終わる

そういう日もあっていいのだろうけれども 状況が状況だけに 息苦しい

郵便局の人が来る予定なのだけど 外をふらふらふらふらしたくなってしまう

したところで誰かと話したり楽しい何かがあるわけじゃないのは分かっている

部屋に入るのがたまらなく閉塞感で 口の中にずっと何かが 押し込められているよう

相変わらず体調がひどく

ずっと頭が痛い

頭のマッサージをするともれなくどこを押しても激痛が走る

これは体が悪い証拠だと言うから結構なもんだ

一度座ると立つのが大変

もう足が重くて重くて 目も開けていられなくなる時がある

寝てしまうと それはそれで 鬱々と してしまい 気持ちが壊れそうになる

もしかしたらもういろんなものは壊れているのかもしれない

ちゃんとすることがもう嫌で嫌でしょうがない

ちゃんとすることがという言い方おかしい

なんだろう

何かしらどうでもいいやっていう部分があるんだろうか

ずっと好き勝手なことをしてきたので 母のやりたい事を何でもやらしてあげたいという 思いで この 十数年 母と一緒に行動し できた

もちろんそれは家族との記憶が希薄な 俺の家族の補完活動だったことも間違いない

分かっていたことながら 母がいなくなると 全てが 重くて大きい深い深い 刃物のような 勢いで ドンと突き刺さってくる

えぐっていく

分かっていたんだけどね

母が死んだわけではないので 何かしらまた うまく行く日も来るのかもしれないけれど

そうは言っても今までの 多くが ストップし

たとえば母が一生懸命作ってきた2階の部屋は 全部 1階へ 移動になるわけで

一生懸命作ってきたいろいろ

例えば本棚であるとか自分が分かりやすいようにといろんな見出しをつけたファイルであるとか

服のね クリアケースでやるとか おしゃれ着やお気に入りの T シャツをかけたハンガーとか

そういったものね

それらをまるまるばらして下におろすっていうのは結構きついです

だってね 母が 自由だった時に自分が楽しんで一生懸命作り上げた部屋なわけだ

自由を失って 半分なくなって 仕方なくばらして 1階に移動する

そんなことが楽しいわけがない

仕方なく部屋を再構成する

それを楽しめというね 人もいるだろうしそれは楽しまなきゃいけないのかもしれないけれど

楽しめないよね

全部を取り上げられたのは間違いないし

もうそれは仕方ないじゃんと言うかもしれない

でもねずっと 本当にずっとうちはいろんなことを仕方がない仕方がないと言って 我慢をしたり切り捨てたり

したいことから目を伏せたり

それをどうにか この10年ちょっと

自分たちの楽しめるものを見つけて

自分たちが楽しい範囲で部屋を作ったり してきたんだよ

それだってさ

100円ショップで一つ何かを買うのに10分20分悩み

リサイクルショップで 300円、500円の ハンガーや衣装ケース を買うのに 30分以上悩み

ずっと欲しかった ちょっとしたアウターも 480円だぜ

それを何回も何回も 何日も何日も吟味して 検討して

2週間後3週間後に一大決心をして買いに行く

靴だってそう

そうやって10年

もうちょっとか

少しずつ少しずつ ちっちゃいちっちゃい楽しいを集めて集めて作ってきた部屋、モノなんだよ

母のレッスンバッグが 二つ三つ

よく見るともう一つ二つ 並んでいる

中には手話の資料であるとか ボランティアサポーター 地区の役員会の資料色々と入っていて全て整理されて並んでいる

その中にはもう二度と使わないものもある

切ないよね

ものすごく丁寧にしっかりとまとめてある

それを見るとね

自分の名前を丁寧に綺麗に書いていたり テープで 飾りつけたり ね

今の手ではもうそんなにキレイに名前を書いたりできないんだよ

スポーツ観戦に行く用のおしゃれ着

選手さんの T シャツ

それも丁寧に並んでいる

二度と着ていかないものも出てしまうんだろうなと ため息が出てしまう

何が辛いってね

そこにあるそういうグッズとか品物そのほとんどが俺と一緒に色々吟味して買ったものなんだよ

だからどれもこれもに小さいながら 思い出があったりする

それを逐一思い出してしまう

その部屋をそろそろ解体しなきゃいけない

そして再構築する

その再構築した部屋っていうのは楽しい部屋じゃなくてそうするしかないから作る部屋なんだ

1階にね母の部屋を作ろうという話は何度も出ていて いろいろな構想もねってはいたんだけど

それとは違うじゃん

それは二人でそれこそ楽しみながらあーじゃないこーじゃないといいながら

モノを買い集めてリサイクルショップであんなもの買ったりこんなもの買ったりして

そうやって楽しく作って行く予定だったのに

ため息つきながら 仕方ねえなって作るもんじゃないよな

それを楽しみながらやるべきだって言うけどね

わかるんだよだけどその楽しみながらやるべきの

べきがしんどいんだ

分かってはもらえないかもしれないけど

楽しめない

無理やり楽しむと 精神壊れる

だって俺も母も一人だもの

俺は一人で 部屋を作んなきゃいけない

母は一人でリハビリしなきゃいけない

俺だって一人でやったんだよなんて人もいるかもしれない

本当に一人だったかって聞きたくなっちゃうよね

嫁さんはいなかったかい

お父さんお母さんもいなかったかい

子供はいなかったかい

本当に全然一人だったかいと

そしてもう一つ

十数年二人で 作り上げてきたもの毎日一緒に 暮らして 買うもの買うもの二人で吟味して

そうやって 二人だけの記憶で生活してきたかいと

気持ち悪いなこいつらっていう見方もあるだろうね

自分でも気持ち悪くないとは思わない

そうしなければ 駄目になってしまっていた俺たちだということも

多分理解はしてもらえない

で理解してもらいたいとも思わない

簡単にわかったよなんて言われたら

腹立つ

結局いつもと同じ堂々巡りの なんだろうね

これは愚痴なのかな 弱音なのかね

わからないけど そういうやつに行き着いてしまう

今日はずっと一人だった

誰ともちゃんと話さないまま

午後の3時4時は本当に辛い

バテていたので

うつらうつらと寝てしまったけれど

起きた時の 虚無感

全部終わらないかなと思ってしまう

とても危険な衝動

だけど母が頑張る以上 俺も頑張んなきゃと思う

だって母の為に生きようって思ったのであれば

そうするのが俺だもんね

お前にはやりたいことないのかって話だけど

ない

ないと言ったら嘘になるんだけど

いやない

将来的にどうとかこうとかもないし

嫁がどうとかもないし

自己顕示欲もないし

かっこつけたいわけでもないし

音楽作ったり絵を書いたりするのは好きで そういうのをダラダラやりたいなぐらい

後は本当に 母が笑いながら現地でスポーツ観戦しているの 見ることくらい

朝起きて電車に乗って 会場着いて お菓子食べながら見て 夜遅く帰ってくる

応接間で荷物をばらして 各々が 買ったものを手に 部屋に帰って行く

それだけが楽しいかな

で 俺のその唯一の楽しみというのが なくなってしまったと

今後それが 復活できるかどうかはまだ分からないし復活させるつもりで母と頑張っていくつもりではあるけれど

実際元気だった時でもギリギリだったのにね

今後その強行軍が できるかできないかって言ったら そんなものはわかりきってるよね

っていうこと まあ何をモチベーションにしていたいんだろうかと言うと 何にもないよね

恋をするにもね 状況悪いんだ

壁が崩れたり天井に穴が開いて なんかわけわかんないベニヤ板がベロンて落ちてくるような家だよ

お風呂場にもでっかい穴がいくつも空いてたり 台所もね ボロボロだったりね

玄関の壁にもでかい穴あいてるんだ

60年か70年だよね築

この家も本当に 俺の隠れ家になってくれて嬉しい限りなのだけど

それを直してあげてないから

さすがに 好きな人をここには 呼べないよね

若い頃はね そういう古びた家っていうのが面白かったり雑然とした部屋っていうのがかっこいいとか思う時期もあって

その時期は呼べたけどね

今となっては無理

じゃあどうしようかって話

結果悉く 諦めていきなさい

今あるもので満足しなさい

そういうことでしょう

その材料で 笑いましょう

笑うっていうことはいいことなんだろうけど

今の俺たちにはごまかしなんだよな

本当は泣いてたいんだから

ずっとさ

たぶん泣いてるほうが癒されるんだよ

笑うとさその反動がでかいからさ

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