第30話治れよ早く

手話の団体の練習をしてきた

とても非常識だとなじられるだろうと 覚悟の上

けれども 母の意向で 活動はもう少し頑張ってもらいたいとのこと

実際稽古場に行くまでは とても気が重い

稽古場でも生徒受け入れ準備を していると震えるほど 気持ちがへこむ

生徒が集まってくると 少し気持ちが上を向く

稽古が始まってしまえばいつも通りの日常が帰ってきた錯覚

ふと気を抜くと そこに罪悪感 嘔吐感を伴うめまい 

どうしていいかわからない瞬間が来る 一方で 生徒たちと 一緒に 手話をやっていると 気持ちが和んでいくのもわかる

稽古終わりで だらだらと話し込む

俺のことを評価してくれる子もいる

受け入れて くれているのが 本当に嬉しい

ところが 稽古場を閉めてみんなを返してしまうと どうにもならない 押し寄せる 感情がある

悔しさであったり 怒りであったり

殊更どういうのか今日は怒りが ほとばしる

こんなに母を慕って母の団体を好きで 集まってくれる子供たちがいるのに

ここから大人になって いろんな話ができるようになった子供たちが 笑顔でいろんな報告をしてくれる

一緒に活動してくれる 自分がやりたいことをはっきり口にして 手伝ってくれる

そんな 時期になって そんなタイミングで なんで それを もぎ取って行かれないといけないのか

何で 体の 半分を 持って行かれなきゃいけないのか

治れよ早く 現場に 先生 がいないなんて しまらねえよ

あんたが 見てないと子供達も 不安だよ

楽しくねえよ

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