第23話 俺は30年 遅いんだなと 気づく

自転車を借りて 買い出しに主に水と ハム それから 日常使いの靴

ずっと仕事用の靴を探していたんだけれども いい値段のがなくて ずっと目をつけていたけれども仕事用にはならないなという安い靴があった ので 突然靴が壊れてしまったりすると どうにもならなくなることもあり 時間のある今日 買いに行ってきた

スーパーとリサイクルショップに点を回ってきたのだけど どれもこれも例によって母と一緒に日常的に利用していた店で 当たり前のようにエスカレーターの前に母がいるような気がしたり 店を出る時に母に声をかけなきゃと 探そうとしたり ちょっとした曲がり かども 母との記憶に繋がってしまう

もちろん母は全然存命なので そんなことを思っていること自体おかしなことではあるのかもしれないけれど そうではなくて ほんとそうではなくて もう そこに母と一緒に 馬鹿騒ぎしながら 行くということがないのだなあと 思うと 締め付けられる

それでも 日常品は その界隈で買うしかなく自転車での買い出しの 帰り 高校の登下校を思い出す

最近は 駅まで通うなんてことは考えられないぐらい 怠惰な生活をしていた

怠惰なわけではないんだけれども 毎日ね駅まで通いそこから電車で 五つ先さらにそこから 歩いて30分以上もしくはバスと言うね 高校時代の生活

それをやっていたのかと思うと さすがにびっくりしてしまう

習慣というのは すごいものだと 思いながらふと 俺は30年 遅いんだなと 気づく

実を言うとここ数年 すごくそれに チョクメンしていたはいたのだけれど 例えばおしゃれもそう

高校時代は変に尖って 洒落た格好するのがダサいと思っていたり 毎朝髪を整えるのに何10分もかけるのは どうかなと思っていたり したものだけど ここ1年2年は ヘアセットに気を使い 洗顔も2種類の乳剤を使ってみたり 眉も整えてみたり 髪型も奇抜なものから おしゃれな入りのものを模索してみたり 着るものも自分が好きで 着たいものではなくて どんなものが似合うかなとか 流行っているのは何かなとか その辺りを色々と 考えたり していた

すべて30年前にしておくべきことだった

自動車の免許もそうで 高校卒業前後ぐらいに普通は取るもの なぜだか尖っていた俺は取らなかった

そしてそのままになっていた

実際大学は東京だったしその後も必要がなかった ということもある 殊更 自動車で遊び回りたい 人間でもなかったし 自動車にかっこよさを感じることもなかった

ただ 普通の人間であることから欠落する ということ には気づかなかった

全部がそう

将来をしっかり見据えるということもようやく最近考え始めた

好き勝手にやってきた

いろんな人といろんなことをしてきた

でも時々母に笑われるんだけれど 本当にあんたのやる事っていうのはお金にならないねと みんな喜んではくれるんだけどねと

それはまあ 無償で いろんなことをやればね いろいろと尽力すればそれは喜んでくれるよね

ただその 甘えた 自己満足に ヒタッてしまい いつまでも そこから抜け出そうとしなかった

それを許してくれたのが母だったということで本当に典型的な 寄生 人間だ

言い訳がましいけど でもとは言え母がいなければ何もできないわけではなくて 一人で 好き勝手していた部分も多々ある

音楽もやったし演劇もやったし 本も作ったし 旅行もしたし 外国も 行った 彼女もいたし 仕事もそれなりに した

俺を信用して 10年以上仕事を回してくれる人もいる

こちらもあまりお金にはならないんだけれど

そういった ことがなんとなく出来てしまっていたから ぼやけていた

なんとなく大学時代をずっと続けたかった

大人になりきれないなんてことはよく言うけれども まさに俺がそうだった

そして 人間関係に疲れ果てた結果 母に依存したんだろう

人間関係に疲れ果てたと言うと とてもかっこいいけど実際は 大人になっていく周囲に 俺が順応しなかっただけで したいことを辞めていくということができなかった

諦めるということもしなかった

かといって 何かを成し遂げることもなく ぐずぐずと 周囲に 不幸を撒き散らすように 居座った

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