八 難波津(一)
さて、いよいよ
遣唐使に選ばれた者たちが、
そこに浮かぶ四つの
遣唐使船のその大きさ、鮮やかな朱色で塗られた船体の美しさ。
こんな大きなものが水に浮かんでいるなんて!
これが人の手で作られたなんて!
驚いているわたしのそばで誰かが呟いた。
「これが海か……本当に唐まで続いているんだな……?」
遣唐使の中にはこのとき初めて海を見た者だっていたんだよ。
港では
水手というのは船の漕ぎ手だよ。港を出るときや無風のときには、船を動かすために水手たちが
四つの船について少し説明しておこう。
第一船は
第二船は遣唐大使、
第三船は遣唐副使、
第四船は
他にも
甲板の上にある船室は大使などのお偉方が使って、わたしたち留学生組は下の船倉を使った。
階段を下りていくと窓の無い暗い船倉はもう荷物でいっぱいになっていて、その隙間隙間に水手たちの顔が見え隠れした。しかも男の体臭が充満していて、ここで何ヶ月も過ごすのかと思うともうそれだけで気が滅入ってしまった。まあ、実際にはすぐ慣れたんだけどね。
さあ、船が出航する。
わたしたちは甲板の上に出た。船室の上に作られたやぐらで太鼓が鳴り始めた。太鼓に合わせて水手たちが櫓を漕ぎ始めた。だが船はちっとも動かなかった。わたしは少し不安になった。
港には大勢の見送りの人々が集まっていた。女たちもたくさんいた。
わたしは隣にいる真成を見た。彼の視線を追った。その先には
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