冒険者になる!
俺は現在、ファースト、セカンド、アリス、マナ、リー、カーマと一緒にネクスト連合国の第一階層を歩いていた。ネクスト連合国の城は何百層もあるフロアから出来ている。そして、その階層ひとつひとつにひとつの国があるという感じだ。この一階層はラッシュ王国のフロアの様だ。
「強くなるには、ここで何をするのが一番手っ取り早いかな?」
俺は4人に質問をした。すると意外な答えが返ってきた。
「私たちと一緒の····騎士になる?」
リーは俺に騎士になるように提案する。
「ん~····迷うな····」
そして10分後····
「1日だけ待ってくれないか?」
「えぇ、良いですわよ?」
今の俺は、結局その日の間に決めることはできないだろうと確信していた。
「でも先ずは冒険者ギルドに行かないといけませんわよ?」
「どうしてだ?」
「そんなことも知らないんですの?····まぁ良いですわ、教えてあげますの」
「そうしてくれると助かる」
俺がこの世界に来てからまだ1週間しか経っていないんだ。この世界のほとんどを知らないと言っても過言じゃない。
「この世界ではほとんどの大人、子供は冒険者ギルドに所属しているのですわ。その理由は簡単ですわ····冒険者にならないと物の売買ができないんですの。ここで身分を証明出来るのは、冒険者ギルドから発行されるこの冒険者プレートだけ····」
そう言うと、4人は自分の冒険者プレートを取り出す。
「これを持っていない大人は信用がないのと同じとして扱われるんですの····」
「なぁ?ひとつ質問良いか?」
「もちろんですわ」
俺はマナに質問をした。
「子供はどうやって自分の信用を手に入れるんだ?」
「子供の信用はその子供の親の信用と同じ扱いになりますわ····親の信用が失われれば、子供もまた信用を失う」
そこで、俺の中にまたひとつ疑問が生まれた。
「信用を失った人間は····どうなるんだ?」
「この国では信用を失った人間は奴隷になり、その飼い主の信用がその人間に与えられるんですの····」
どうやらこの国は奴隷制度というものがあるらしい。世界の危機が迫っているというのに何をふざけたことをしているのか、俺には分からない。
するとマナが言葉を続けた。
「犯罪でも犯さない限り、信用を失うことはないですけど····」
そんな事を話していると、どうやら冒険者ギルドに着いたようだ。俺の想像していた冒険者ギルドより遥かに大きい。そして、俺は思わず言葉が出てしまった。
「でかいな····」
「このネクスト連合国には冒険者ギルドは5つしかないのですよ!」
こんなにでかい国なのに5つしかないのか····そりゃあこんだけ大きくなるわけだ。アリスたちはそんな感動に浸っている俺を受付まで案内してくれた。正直、冒険者になる大人はこの時期にはいない。多いときにはギルドの外にまで行列ができるそうだ。
「どうも!冒険者登録に来ました!」
俺は受付の女性に元気よく挨拶をした。
「あら?とても元気が良い子ですね?親はどこに居るのかな?」
「え····」
そうだった!俺まだ高校生だから普通に子供なんだよな····どうやって言い訳しようか····そうだ!
「先日····病気で死にました」
「そ、それは大変ですね····先程は失礼しました····」
「いいえ、お気になさらず」
なんとか騙すことが出来た。ここで登録できなかったら終わってたわ。
「冒険者登録に来たんでしたっけ?」
「はい!」
「それではこちらの紙に必要事項を書いてください」
そう言うと受付の女性が1枚の紙を俺に渡してきた。その紙には氏名、希望職業、出身地を書くところがあった。(なぜかこの世界の文字が読めた)
名前は書けた。希望職業は剣士、あとは····出身地か。うーん····まぁ、ラッシュ王国って書いておけば良いか。
「書けました!」
俺は受付の女性に紙を渡す。
「確かに受け取りました!それでは試験の方に向かってください」
「試験?」
え、何それ?聞いてないよ?
「翔様は剣士を希望されているので、向こうの部屋で待っていてください····あと、試験は大会のあとに行いますので····」
俺は受付の女性が指を指した方向にあった部屋に入る。部屋の中には人が数人いた。そしてその全員がとても屈強そうな男ばかりだった。まさかアリスたちは今日が大会の日だと知って····
俺が部屋に入って数分後、男たちは部屋の向こうの大きい扉から出ていった。
「················」
俺は黙って、呼ばれるのを待った。男たちが出ていった約1時間後、ついに呼ばれた俺は大きい扉から外に出る。そして、前に進み出した瞬間アナウンスが入る。
「さぁ、ここで!!剣士希望の登場です!!久々の剣士希望!!どんな戦いをするのか!!」
大きな扉の外にはコロシアムのような場所があり、周りを見渡すと人が大勢いた。もちろんその中にはアリスたちがいた。
(あいつら····覚えていやがれ!)
俺が定位置に着くと、試験官が現れる。
「今日の試験官は!!な、な、何と!?騎士団の精鋭、カイン・ロマンだ!!」
その、カインとか言う鎧を着た人間に対し、俺はお辞儀をする。
そして、カインが定位置に着くと、カウントダウンが始まる。その間にアナウンスでルール説明が入る。
「ルールは簡単!剣士希望の少年は試験官に力を見せつけ、認められる!!それだけです!!」
そして俺はずっと横にいることを忘れていたファーストとセカンドを、剣状態にし、握る。
すると、相手も腰の剣を抜き、構える。
そして、カウントが0になった。
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