ネクスト連合国に向かう途中
俺は現在、今は亡き国王の部屋にあった地図を見ながら、今は亡き国王に言われた通りに隣国であるネクスト連合国に2本····2人の聖剣と一緒に向かっている。
「はぁ~····いつになったら着くんだ?」
「もう少しで着くはずですよ、主」
「我、もう疲れた~」
もう、ラッシュ王国を出て3時間は経っている。俺はため息を吐きながらも歩き続ける。そもそも遠いのが分かっていればこんなことにはならなかった。国王が、縮尺を書いておいてくれればよかったのに····
「主よ····走れば良かったのでは?」
「そんなに早く走っていたら、隣国の人に怪しまれるだろ?」
俺はどれだけ速く走っていても疲れることはないのだが、それを人に見られるのは少し不味い気がした。
「いえ、風の魔法で速く走る人もいますし····簡単に誤魔化せますよ?」
「え?」
ファーストさん····それはもうちょっと前の段階で言っておいて欲しかったんだが····
そんな、ちょっとしたコントをしている内に大きな城が見えてきた。遠くから見た感じ、大きさはラッシュ王国にあった城より、数十倍はでかい。何しろ、城のてっぺんが雲に隠れていて見えない。いったい、どうやってこんな巨大な建築物を作り上げたのか正直気になる。
「あれが、ネクスト連合国の城····か」
「でかいですね····」
「我でもこの大きさは見たことがないな····」
俺たち3人はその城の大きさに圧倒されて、腰が抜けそうになっていた。その時、地面が大きく揺れた。
「ヴォォォォォォ!」
そして、辺りに轟音が響く。それも前に聞いた事があるような鳴き声だった。
「····っ!今の鳴き声は!」
咆哮が聞こえてくるという事は誰かが襲われているということだ。
「ファースト!セカンド!我が手に!」
「了解····」
「良いだろう!」
俺は急いで、轟音の元に走っていく。すると、大きな影が見えた。
「あれは!」
銀色の鱗に、銀色の翼、銀色の牙を持ったそれは····正しく、銀龍という名を持っていそうな感じだった。その銀龍の足下にも小さな影が4つあった。
「あれは····騎士か?」
その影は、全員鎧を着ており、その鎧は既にボロボロだった。恐らく、ネクスト連合国の騎士だろう。俺はその騎士たちに声をかける。
「そこの騎士たち!大丈夫か?」
俺はようやく、銀龍の近くまで寄ることが出来た。そして、銀龍にファーストを突き刺す。
「はぁぁぁぁぁ!」
そして、銀龍の体にファーストが刺さろうとしたその時、ガキン!と何か硬いものに弾かれる。
「硬過ぎたろ!」
この前戦った黒龍はファーストでも余裕で切れるような柔らかさだったが、こいつはあまりにも硬すぎる。
「ファースト!分析頼む!」
「了解しました。エネミーの分析を始めます」
俺はファーストの分析が終わるまで、セカンドで攻撃を続ける。だが全て弾かれてしまう。
「くっ!そろそろ腕が限界だ!」
その時、ファーストが喋り出す。
「エネミーの分析が終了しました。敵は体に強力な防御魔法を展開しています。それを超える威力の魔力を聖剣に宿せば突破が可能です」
「具体的にはどうすれば良い?」
魔力を聖剣に宿すとかよく分からないから、簡単に説明してもらう。
「聖剣解放と唱えてください」
「『聖剣解放』」
俺はファーストに言われた通りの言葉を言うとファーストには白い光が、セカンドには黒い光のようなものが集まってきた。一気に俺の魔力が削られる。
「終わりだ!」
俺はファーストとセカンドで銀龍に連撃を食らわせる。さっきとは違い、弾かれることはない。最後の一撃で銀龍は真っ二つに切れた。
「ようやく終わったか····」
俺はその場に倒れてしまった。すると、さっきの騎士たちが近寄ってくる。
「大丈夫ですか?」
この時、初めて俺は気付いた。その騎士は女性だったのだと。そして、その騎士の声を聞いた途端、何故かファーストが揺れ初めて、人型に戻ってしまった。
「ファースト?いったいどうした?」
ファーストは俺の後ろに隠れたまま何も言わなくなってしまった。
「ねぇ?あなたのその剣ってとても不思議なんですのね?」
「やっぱりこういう剣って珍しいのか?」
「珍しいも何も、こんな剣初めて見ましたわよ?」
え?聖剣ってみんな人型になって喋るんじゃないの?さすがに勇者に会ったことがない····なんてことはないよな?
「皆さんは勇者に会ったことはあるよな?」
「私たちはみんな勇者様に会ったことがありますけど?どうしてですか?」
この反応からすると、本当に勇者に会ったことがあるだけのようだ。
「共闘したりすることはなかったのか?」
「ふふっ!あなた、中々面白いことを言いますのね?勇者と共闘したことなんてありませんわ····あの人たちは強すぎますの。私たちでは只の足手まといになってしまうだけですわ····」
少し間が空いてから、騎士の1人が顔を覆っていた鎧を外し、俺に挨拶をした。
「自己紹介がまだでしたね····私はアリスと申します。前まではラッシュ王国という国の騎士団に所属していましたが、今はネクスト連合国の騎士団に所属しています」
すると、それに続いて他の3人も同じように鎧を外す。そして、同じように自己紹介をしてくれた。
「私は、マナと申しますわ。先程は助けていただき感謝していますわ」
マナと名乗ったこの女性はとても綺麗な銀色の髪をしていた。そして、言葉遣いからしてどこかのお嬢様だろうと俺は予想する。
「わ、私は····リーと····も、申します····さっきは····助けてくれて、あ、ありがとう····」
マナの次に名乗ったリーという名の女性は炎のような真っ赤な髪の毛をしていた。俺のいた世界で言うと、コミュ障というやつだな。
「僕は、カーマと申しますのです!助けてくれて、ありがとうなのです!」
最後に名乗ったカーマという女の子は青い髪の毛をしていた。しかも少し小柄でこの中では最年少であると俺は予想する。正直若くて、この身長なら俺のストライクゾーンに入る。
「俺の名前は、
俺はセカンドを空に投げる。するとセカンドは人型になり、着地した。
「こいつがセカンド。そして俺の後ろに隠れているのがファーストだ」
俺は、ファーストとセカンドの頭を撫でながら紹介する。そしてそれと同時に俺の目的を伝える。
「俺たちは訳あって、強くならなくちゃいけないんだ····だからネクスト連合国に向かっている」
それを聞いた4人は首を横に振った。
「すまないが、それはできない····」
「どうして?」
「あそこには、選ばれた者しか入れないのだ。私たちのように王国騎士に入っていた者や、宮廷魔道師クラスの魔法使いでなければ····」
「それについては問題ない」
俺は右手に魔力を集中させる。すると、右手の勇者の証が浮かび上がり光だした。
「この紋章は····勇者の····一族の証····」
「あなた、勇者だったんですの?」
「何て、魔力····」
「意識が飛びそうなのですよ····」
そして、俺は宣言した。
「俺は、世界を救うためにここに呼ばれた勇者だ。勇者はネクスト連合国に入れるか?」
「当然····ですわ」
こうして俺は無事にネクスト連合国に入国できたのであった。
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