究極の闇
魔王は城を作った。それはラッシュ王国の前に建てられている。俺はそこでラッシュ王国を潰す計画を完成させようとしていた。
俺の名は神城仁····いいやもうその名は捨てた。今は魔王アストラル····か。
俺は城の自分の部屋の大きな椅子に座っていた。
「やはり人間は愚かだ····」
俺は別にこの世界が嫌いだったわけじゃない。むしろ好きだった。だが、この世界は俺を否定した。
「魔王は····人間の敵だ」
そうだ。魔王は人間とは仲を深めてはいけなかったのだ。だから俺はみんなから弾かれた。
その時、俺の部屋である魔王の間の扉が開いた。
「魔王様そろそろ準備が整います」
「そうか····」
俺にそれを告げに来たのは龍の王である金龍だ。こいつは俺の下僕の中で1番強い戦士だ。
「それでは行くとしよう····」
俺は魔王の間の椅子から立つと、城から出た。
ラッシュ王国の結界の前に俺は立つ。こいつがあると攻めようにも攻めれないからな。
この結界は魔族や魔物には絶対に破壊できない。この中にいる人間はさぞ安心しているだろう。だがそれも終わりだ。
「警告する!今からここを我が滅ぼす!」
俺は、王国中に響き渡る声で叫ぶ。目的はただ1つ。ここに勇者を呼ぶことだ。
「····返事はなしか」
俺は勇者を抹殺出来ればそれでいいのだ。だが出てこないならば無理矢理でも出てこさせるまで。
「はぁぁ····」
俺は自らの手で結界に触れる。こうしなければ結界を解除出来ないからだ。
「『
俺が魔法を発動すると結界がパリパリと割れていく。
まだ勇者は来ない。中にいる人間は誰も気づいていないのだろうか。
「行け!我が軍勢よ!滅ぼし尽くせ!」
「「「「「「おおおお!」」」」」」
結界が全て敗れ去った瞬間、王国の中に警告音が響き渡った。そして中からは幾千もの悲鳴が聞こえてきた。
そして俺は魔王の間の椅子に戻った。
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ラッシュ王国に進軍してから半日が経った。もちろん悲鳴は聞こえてこない。もうすぐラッシュ王国の人間を半分以上殺れただろうか。
その時、魔王の間の扉が開いた。入ってきたのは····人間だ。その中には俺の知っている人間がいた。
「貴様が魔王か!」
「そうだ····」
「我らは勇者の一族!貴様を封印させてもらう!」
俺は驚いた。勇者の一族は各地に散らばっていると聞いていたがこんなに早く集まるなんて。
「弱すぎるな····」
「何だと!」
「余りにも弱すぎる····」
見た感じ、こいつらでは銀龍を倒すのにやっとだろう。
「魔王が風情が調子に乗るな!」
「人間風情が!」
勇者全員が俺に向かって右手を伸ばす。すると勇者の証が光り出す。
「勇者の証にかけて····お前を倒す!」
そう言うと勇者は聖剣を構える。そしてそのうちの1人がすごい速さで俺に向かってきた。
「はぁぁ!」
勇者は俺に聖剣を振りかざす。俺はそれを片手で止めた。
「やはりこの程度か····」
「何!?なぜ聖剣が効かない!」
俺は勇者の聖剣を奪う。
「貴様にはまだこれは早かったようだな····」
「返せ!それは俺のだ!」
「ならば力づくで奪ってみせろ····」
だが勇者は動かない。それを見た俺は呆れた。そして俺は聖剣を自分の腹に刺した。
「いったい何を!」
「見ていろ····」
俺の腹に刺さった聖剣は俺の中に取り込まれて行った。
「なぜだ!なぜ魔王が聖剣でダメージを受けない!」
「答えを教えてやろう····」
俺は椅子から立ち上がると魔法を発動する。
「『聖剣召喚』」
俺は聖剣を召喚する。そしてそれを勇者に向ける。
「それは····勇者にしか使えないはずだ!」
「そうだ····これは勇者にのみ許された魔法····」
「お前も····勇者なのか!」
「そうだ····」
俺は勇者たちに向かって歩き出す。
「なぜその力を世界を救うために使わない!」
「使ったさ····でもそれも無意味だった····なぁ····ノヴァ・スカーレット?」
俺は、赤いローブを羽織った女性····ノヴァ・スカーレットに話しかけた。
「なぜ私の名を!」
「相変わらずだな····お前は」
俺はノヴァに話しかけながら学園生活を思い出していた。あの楽しい思い出を····そして絶望の日を。
「····我は弾かれた存在だ」
今、俺はどんな顔をしているのだろうか。多分酷い顔をしているのだろう。
「いったいお前に何が····」
「我は····いいや、もう終わった話だ····」
ノヴァ・スカーレットが俺に向かって聖剣を投げてきた。俺はそれを避けない。その聖剣は俺に刺さる。
「無駄な足掻きを····」
聖剣は俺の中に吸い込まれていく。すると俺の手に持つ聖剣の輝きが増す。
「『
俺は勇者の動きを止める。そして全員の聖剣を吸い込んだ。すると聖剣が真の姿を見せた。
「これが完成された····聖剣か····」
俺は完成された聖剣を床に刺す。
「『魔剣召喚』」
自らの魔剣を召喚し、右手に握る。そして聖剣を左手に握る。
「聖剣よ····魔剣よ····一つとなれ····」
聖剣と魔剣が磁石のように呼応すると、ひとつに混ざり合う。
「これが····」
俺の目には一本の剣があった。それは魔剣より禍々しいオーラを放っていた。
「全司剣アルテミ・ブレード····」
この剣はその名の通り全てを司る。
「これで····」
俺は、一切動けなくなった勇者を牢に入れた。
「我は忘れない····」
そして俺は目的を果たした。目的を失った俺は、魔王の間の椅子に座り、眠りについた。
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次回から主人公が一旦変わります!
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