魔王とは····

「この力はまさか····前魔王の!?」

「なんだと?」


俺は驚くデーモンの言葉に疑問を抱く。


「そうだ!魔王のくせに平和な世界を作ると言って俺たちを封印したあの愚かな男の!」

「そうか····俺のこの力は前魔王の····だが··そんなことはどうでもいい」

「なぜ貴様のような人間が!」


デーモンは叫びながら俺に殴りかかる。俺はうそれを避けつつ、


「『魔剣召喚』」


俺は召喚した魔剣を右手に握る。そしてデーモンの腕を切り落とした。さらにもう1本の腕も切り落とす。


「どうだ····下等生物に負けそうになる気分は····」

「くっくっく!勝ったと思うなよ!人間!」


デーモンの切り落とされた腕が消滅し、また切り落とされた部分から再生された。


「光の精霊よ!我が敵を照らせ!『聖なる光ホーリー・ライト』」


デーモンが魔法を発動すると辺り一帯が聖なる光に包まれる


「貴様が魔王の力を持っているのなら、聖属性の魔法は効くだろう!」

「くだらん····」


俺は聖なる光を浴びたが、ダメージはない。


「魔王の闇に、その程度の光など意味は無い!」

「なんだと!」


デーモンは俺から距離を取り、魔法を発動する。


「地獄の業火よ!かの者を焼き尽くせ!『魔炎デモン・フレア』」


大きな炎が俺に向かって飛んでくる。だが、俺もそれを受けるつもりは無い。


「『アンチ魔法・マジック』」


俺が炎に意識を集中して、魔法を発動するとその炎が消える。


「何だと!?魔法を無効化した····だと」

「そう驚くな····たかがこの程度の芸当····誰でも出来る」


俺はデーモンに向かって歩き出す。


「『魔剣召喚』」


俺は魔剣をもう一本召喚し、左手に握る。


「····っ!魔剣が····2本···?」

「ふっ!」


俺は召喚した魔剣を即座にデーモンに投げつける。


「ちっ!」


デーモンは間一髪で魔剣を避ける。


「俺は世界を救うためにこの力を使う」

「魔王が世界を救うだと!ふざけるな!」


デーモンが俺に咆哮を浴びせる。


「『加速アクセル×20』」


俺は自らに強化魔法をかける。


「『聖剣召喚』」


右手に聖剣を召喚する。そして俺は投擲の構えをする。


「『魔法付与エンチャント加速アクセル×20』」


俺は聖剣に強化魔法を付与する。そしてそれを投げる。


「ふっ!」


強化魔法を掛けている俺から見ても音速はあるだろうという速度で聖剣はデーモンに向かって飛んでいく。


そして、聖剣はデーモンの胸に刺さる。


俺はそれをさらに捩じ込む。そして魔力を集める。


「『聖剣解放』」


するとデーモンの体は光の粒となって消え始めた。


「『解除リリース』」


俺が全ての強化魔法を解除すると一気にデーモンは消えた。


「魔王とは魔族を統べる者であって、世界を滅ぼす者じゃない」


やはりあの魔族は雑魚だったようだ。あんなにも簡単に死んでしまうなんて····


「さて····みんなを起こそう」


俺は手袋をつけ、みんなの睡眠魔法を解くと、みんなが目を覚ます。


「あの魔族は!?ど、どこに行ったの?」


サザナミが俺に聞いてくる。もちろん正直に答えるつもりは無い。そうだな····


「俺がみんなを転移させたら帰って行ったよ」


サザナミが俺に抱きついてくる。


「ありがとうぉぉ!」


しかも涙目で····鼻水を出しながら。


「どういたしまして!」


その後俺たちは先生の命令で寮に帰るように命令されたが俺だけは学園長室に呼ばれた。


「学園長?なにか御用ですか?」

「とりあえず座れ」

「はい····」


俺は学園長に言われた通りに椅子に腰掛ける。すると俺の手と足に拘束具が嵌められた。すると体の力が少し抜けた感じがした。


「学園長?これはいったいどういう····」

「お前を一時的に拘束させてもらう」

「え?」


何故だ····俺はみんなを救った「英雄」のはずだそれなのに····


「心当たりがないとは言わせないぞ!」

「俺は····ただみんなを救っただけです!」


俺は学園長にそう訴えた。だが、


「お前は、魔剣を使っていたようだが?」

「ど、どうしてそれを!」

「図星か····やはり貴様は····おいノヴァ!こいつを牢に連れて行け!」


ノヴァが悲しそうな目で俺を見ていた。


「まさか····あなたが魔王だったなんて····」

「俺は····」


俺はノヴァに本当のことを言われて何も言えなかった。


「····くっ!す、すまない····」

「信じてたのに!」


俺は大人しくノヴァに連れて行かれることにした。


そして間もなく牢に入れられた俺は牢の隅っこで座りながら考え事をした。


俺はいったい····何をしたかったのだろう。これが魔王となった運命なのか?


「俺は····俺は····間違ってない!」


俺はそうブツブツと言いながら誰かが来るのを待った。


だいたい1日が経っただろうか····牢の前にはサザナミがいた。


「サザナミか····」

「私は!あなたを信じています!」

「ありがとう····」


そうだ。俺はいったいどういう理由でここに入れられたのだろうか。


「サザナミ····俺はなぜここに入れられたんだ?」

「えーっと····あなたが魔王で魔族をここに呼んだ、と聞かされました」

「そうか····」


それが分かっただけでも十分だ。


「ありがとう····サザナミ」

「····どういたしまして」


そしてサザナミは牢から遠ざかっていく。


サザナミがいなくなってからはずっと脱出方法を考えていた。


「まずはこの拘束具をどうにかしないとな····」


そう思い、力ずくで拘束具を破壊しようとした。すると、拘束具は簡単に壊れてしまった。


「え?」


俺は壊れた拘束具を見てこう思った。


「脆くない?」

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