魔族襲来
今日もいつも通りの朝····
いつもと同じ制服を着て、いつも通り寮を出る。
「ごめん!待たせた?」
「全然!」
「さっき来たばかりですよ!」
いつも通りノヴァたちと合流し、学園に向かう。
学園の校舎に入りかけた時、俺の体が震える。
「····っ!今のは····」
「どうかしたか?」
「気のせいか····」
この学園にはいつもとは違う空気が流れていた。
俺たちは教室に着くと、席に座る。すると間もなくグラニ先生が教室に入ってきた。
「今日の授業は学園大会のチームで模擬試合だから!闘技場に移動して!」
クラスメイトが、闘技場に向かう。俺たちもそれに続いて闘技場に向かった。
「それでは!まず!チームA対チームBの試合を始める!それでは、チームの代表は握手を!」
俺は相手チームの代表に握手をしに行くと、それと同時に相手チームの代表も俺に向かって歩いてきた。
「よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします!1年生最強の力を見せてください!」
俺たちは以前から練習していたフォーメーションに移動する。前衛は俺とサザナミ、後衛はノヴァだ。一方、相手のフォーメーションは前衛が剣士であるクイル1人、後衛は魔法使いであるリンネとサクラの2人だ。
「それでは!始め!」
先生の合図で俺は右に、サザナミは左に走る。後衛の魔法使いは俺たちに『
「ナイス!ノヴァ!」
「こんなの序の口だ!それよりも前を見ろ!」
そう言われて、俺が前を向くとすでにそこにはクイルの姿が。
「え!?」
「はっ!」
クイルは俺に向かって剣撃を飛ばしてくるが俺はそれをひらりと避ける。
「瞬間移動だと!?」
俺はクイルと少し距離をとる。
「少しは驚いてくれましたか?」
そう言うと、クイルの姿が消える。
「くそ!」
俺は後ろからクイルに肩を叩かれた。
「僕はここですよ?」
「何!?」
俺はまたクイルと距離を置く。
(あれは瞬間移動なのか?はたまた転移魔法なのか····)
そしてまたクイルの姿が消えた。
(『
俺はクイルのそれが何なのか確かめるために強化魔法を使用する。だが、俺の目にクイルは移らない。その時確信した「あれは転移魔法の一種だ」と。
(厄介だな····)
俺は魔王の魔力を少し使うことにした。できる限りみんなを気絶させないように。
「『
すると、クイルの魔力が俺の後ろに移動するのが分かった。
「さぁ!これで決まりだ!」
クイルは剣を抜き、俺の背中に切りかかる。しかし、俺の背中が切れることは無い。
「何!?」
なぜなら俺はクイルの剣を掴んでいたからだ。
「同じ手が2度も通じるわけないだろ?」
クイルは咄嗟に転移魔法を使おうとするが、俺はそれを許さない。
「『
俺はクイルの体の時間を止める。そして、クイルの背中に回る。
「『
クイルにかけた魔法を解除すると、クイルは驚く。目の前にいたはずの俺がいなくなったのだ。そりゃあ驚くわな。
「どこに····」
俺はクイルのみぞおちに正拳突きを全力で当てる。
「ぐはっ!····くっ」
「チェックメイトだ····」
俺は倒れたクイルを端の方に寄せると、ノヴァ達のもとに向かう。
「ノヴァ!大丈夫か?」
「ちょっとキツくなってきた!」
ノヴァは妨害系の魔法使いのリンネに苦戦しているようだな。サザナミも近距離魔法使いであるサクラに苦戦している。
「サザナミ!まだ耐えれるか?」
「まだまだ大丈夫ですよ!」
「分かった!」
俺はノヴァのもとに向かう。
「ここは任せて、サザナミの所へ!」
「分かった!」
俺は、リンネの前に立つ。
「確か、リンネさんだったよね?」
「私の名前····お、覚えてて····くれたんだね··あ、あ、ありがとう····」
「さて、話は終わりだ!それじゃあいくよ!」
俺はリンネのもとに走るが、なぜか視界が揺らぐ。
「これは····」
リンネの後ろに黒い影が見えた。すると影は刀を構えた。
「い、いけ····」
黒い影は俺に攻撃を仕掛けてきた。
「くっ····こ、こいつは!」
あれは使い魔だ。いくら契約を交わしていても魔物ということに変わりはない。契約者の魔力を大量に吸った魔物はとても強い。
「か、かの者をそ、阻害せよ『
更に、リンネが妨害魔法を打ってくる。これはノヴァには少しキツイ相手だったのも納得がいく。
「くそ!早めに決着を付けないとな!『
「な、何!?」
俺から出た衝撃波がリンネを吹き飛ばそうとするが、使い魔はそれを防ぐ。
「『
俺はリンネの懐に飛び込む。衝撃波を防いでいる使い魔は俺のもとには来ない。
「すまない····」
俺はクイルの時と同じだったように正拳突きを叩き込む。
リンネが気絶すると使い魔もまた、消える。
「さて!最後は····」
サザナミとノヴァがいる方向を見ると、既にサクラとの勝負はついていた。
「試合終了!それでは····次····の」
グラニ先生が何かに気が付いたのか上を向いて動かなくなる。
俺は先生が向いている方向を向く。
「あ、あれは!」
そこには角を生やし、翼が生えた人間のような化け物がいた。するとそれは口を開いた。
「下等生物共よ!ひれ伏せ!我が名はデーモン!」
デーモンと名乗るその化け物は気絶しているクイルの頭を掴む。するとデーモンは····食ったのだ、クイルを。
「クイル!くそが!」
俺は必死にその化け物を睨む。他の生徒は既に腰を抜かしているか、我先にと逃げているかのどちらかだった。
「喚くな!下等生物ごときが!」
戦える者は既に俺1人となっていた。ノヴァもサザナミも腰を抜かしている。
「すまない····みんな····『
俺は闘技場にいる全ての生徒、先生に睡眠魔法をかけた。
「なんの真似だ?」
「これで····俺も本気が出せる」
「下等生物が本気を出したところで何ができる?」
「下等生物····か」
魔王の魔力を持つ俺を····下等生物か。
「『
「····!この····魔力は!」
俺は魔王の魔力を解放し、手袋を外す。すると、勇者の刻印と王の刻印が光り出す。
「王の証よ!勇者の証と1つとなりて!我に力を!『
仁の体に黒い鎧が纏われ、そして両手には剣の形をした刻印が現れる。
「行くぞ····
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