学園大会?
「学園大会?」
「そう!」
神の使いのリョーマとの戦いから1ヶ月後。
俺はノヴァから学園大会なる行事の話を聞いていた。
「その大会って具体的にどういうものなんだ?」
「名前の通りだ」
「つまり、学園の生徒の中で誰が強いか決める大会····ということか」
「そう!····でもあなたは多分····出れない」
え?学園大会なんだから全生徒が参加しないとダメじゃないの?
「ど、どうして?」
「仁ってもしかして····ううん····なんでもない」
「俺がどうかしたのか?」
「なんでもないって言ってるだろ!忘れろ!」
そう言うと、ノヴァはどこかに走って行った。俺は疑問を残して寮に戻った。
「ん〜····気になる!」
どうしてもノヴァの言葉の意味が分からないのでサザナミに聞いてみることにした俺は、サザナミの部屋に向かった。
「サザナミ〜!いるか?」
部屋のドア越しにサザナミを呼ぶ。するとすぐに部屋のドアが開く。
「どうかしました?」
「少し、話を聞いて欲しいんだ」
「え?わ、分かりました!立ち話もなんですのでどうぞ入ってください」
俺はサザナミの部屋に入る。
「お邪魔します」
部屋に入ると、とてもいい香りがした。そして俺は適当に床に座る。するとサザナミはお茶を入れて机に置く。
「それで、話ってなんですか?」
「ノヴァに学園大会に俺は出れないって言うんだ····」
「あ〜····それは····」
「それは?」
サザナミがティーカップに入ったお茶を一気飲みすると、覚悟を決めた感じにこう言った。
「あなたが強すぎるからです」
「え?それだけ?」
俺はもっと深い理由があると予想していたが····なんだか期待外れだ。
「学園大会はこの国の偉い人達も来るので、あなただけが勝ち続けても全然面白みがない。だからあなたを出すことはないとノヴァは考えているのでしょう」
「そうだったのか····」
正直、それは仕方がない。俺だって自分の強さが把握できてないわけじゃない。でも俺たちは偉い人に自らの強さを見せつけるために大会を開くんじゃないのか
「学園大会は····ただの見せ物か····」
「昔は、そんなものじゃなかったんですが····少し前から変わってしまったんですよ」
「そうなのか?」
どうやら、昔はちゃんとした大会だったらしい。強いものが勝ち弱いものが負ける。ただそれだけの単純なものだった。でも学園長が変わってから今の学園大会になったらしい。
「ノヴァも仁が嫌いで仁は大会には出れないなんて言わないと思う」
「それもそうか····」
「ノヴァの言う通り、私も仁は学園大会に出れないと思います」
「それでも俺は····諦めきれない!」
俺は強い意志を持って、大会に出ることを心に決める。そして、自分の部屋に戻った。
「とりあえず、今日はもう寝るか····」
俺は瞳をゆっくりと閉じた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ふぁ〜····よく寝たぁ〜!」
朝の目覚めはとてもいいものだった。どうやら、サザナミの部屋に香っていたのは体を癒す効果があったようだ。
「さてと····」
俺は、早速学校に行く準備をする。
「よーし!行くか!」
俺はテンション高めで、寮を出た。すると、寮のすぐ側でノヴァとサザナミが待っていた。
「おはよう!」
「仁!遅いぞ!」
「速く速く!」
俺たちは、走って教室まで向かった。
教室に着くと早速グラニ先生が教室に入ってきた。
「え〜····今日は学園大会のチーム決めをするぞ!」
その言葉にみんなが歓喜した。その中で2人だけ俺を心配する目を向けている人がいた。
「えーっと!まず!チームAは····仁!ノヴァ!サザナミ!」
「「「はい!」」」
俺たち3人は返事をする。
「お前たちは!3年生部門に出場することが決まった!」
教室に「すげぇ!」とか「さすがトップ3!」といった声が聞こえた。
「次のチームは····」
その後もチームが発表されていくなか、俺には疑問が残っていた。
(どうして俺が出場できたんだ?いったい、学園長は何を考えているんだ····)
そんなことを考えていると、全てのチームが発表し終わった。
「それじゃあ、これで今日の授業は終わりだ!闘技場を開けておくから、自由に使っていいぞ!」
先生が、教室から出ていくと、みんなも闘技場に向かっていく。
しかし俺とノヴァとサザナミは教室に残っていた。
「どうして俺が出場できたんだ?」
「分からないです····」
「何があったか知らないけどまぁ、出場できて良かったじゃない!」
「まぁ····それもそうか!」
そうだ。出場できたから良いじゃないか。いつまでも疑問に思っていても仕方がない。
「それじゃあ!闘技場に行くか!」
「「うん!」」
闘技場に着いた俺たちは早速、連携の練習をする。
「たぁ!」
ノヴァが槍での連続突きを俺に浴びせる。
「今よ!サザナミ!」
ノヴァの合図でサザナミが俺の死角に現れる。
「ふっ!」
サザナミが刀を抜くと同時に俺に切りかかる。
「くっ!」
俺はギリギリでその刀を避ける。
「やるな!2人とも!」
俺の体力はまだまだ残っているが、ノヴァとサザナミは既に息が上がっている。
「2人とも!お疲れ様!」
「「お疲れ様〜」」
俺たちはベンチに座り、水分補給をした。
「仁はどうやってそんなに強くなったの?」
「ん〜····頑張った」
「え〜!なんかムカつく!」
冒険者の時にたくさんの黒龍を頑張って倒したのだから間違ってはいない。
「これから食堂に行かないか?俺、腹が減ってきちゃた····」
「いいですね!」
食堂に着くと俺はとりあえず大好きなハンバーグと白飯とコーンポタージュを頼んだ。
ノヴァはパンケーキと紅茶を、サザナミは白飯と焼き魚を頼んだ
「「「いただきます!」」」
俺たちはとても美味しいご飯を腹一杯まで食べると食堂を出た。
「あんなに美味しいご飯がタダで食えるなんて、夢みたいだよな〜」
「そうね」
「そうですね〜」
俺は寮までノヴァとサザナミを送って行くと学園の闘技場に向かった。
「『
俺は自らの魔力を解放する。そしてさらに、
「『
自らの魔力を増加させる。この時の俺の体には前のような痛みはない。
「『
3回目の
「あぁぁぁぁ!」
「リ、『
全ての強化魔法を解除する。すると痛みも同時に引いていく。
「やはり····」
俺の特訓を見ているものが1人いた事を俺はこの時、知らなかった。
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