神の使い

今日は、月に1回の学園集会の日だ。この会では各学年のトップ3が発表される。この学園には1〜3年生まで存在していて、会の間、普通の生徒は椅子に座っているのだが····


「それでは!学園集会を始める!」


俺たち、生徒は学園長に礼をする。


「ではまず!各学年のトップ3を発表する!まず!1年生のトップ3は、神城仁、ノヴァ・スカーレット、サザナミ・アヤネ!」


俺たち3人は礼をする。


「次に2年生!キリシマ・カイ、アクア・サラ、リョウ・セイ!」


続いて、2年生の3人が礼をする。


「そして、最後に3年生!タイラ・リョーマ、シャドウ・シュン、カトー・ユー!」


最後に3年生の3人が礼をする。


「3年のこの3人、つまりパーティー「神の使い」が王国にランクCのパーティーに認められた!」


学園長のこの一言で会場の雰囲気が一気に変わる。みんなが一斉に拍手を送る。俺の所属している「ファイブナイツ」はランクBだから、あまり凄いとは思えないな····


「では次の話は····」


この後の話は完全に雑談だった。そして、めちゃめちゃ長い。長すぎる。おかげで俺の足は棒と化していた。


学園集会終了後、俺たちは先輩について話していた。


「3年生の先輩って凄いんだね····」

「まさか、もうCランクに上がるなんて····」

「そんなに凄いの?Cランクって」


Cランクって言っても強い訳じゃない。ただ国に貢献すれば勝手にランクは上がっていくのだから。


「まぁ、あなたでは到底届かない高みよ」

「いやいや、俺の所属していたパーティーはBランクだぞ?」

「仁は、冒険者だったの?」

「まぁな」


俺の言葉にめちゃめちゃ驚いている2人だが、まだ若干信じてはいないようだ。


「これが証拠だ」

「それは····冒険者プレート?」

「どうせ····え?龍殺しドラゴン・キラー?」


どうやら、2人は龍殺しの称号に目が行ったようだ。


「この称号って確か····」

「銀龍以上の討伐をした人しか貰えないらしいぞ?」

「す、すごいじゃないですか!」


そして俺の話が終わり、また先輩の話に戻った。


「····ところで!今から神の使いの皆さんに会いに行きませんか?」

「それいいね!」


俺たちは、3年生がいるフロアに移動した。


3年生フロアはとても広大だった。これじゃあ、先輩を探すのにもひと苦労だな。


「えーっと····どこら辺に例の先輩がいるんだろう?」

「私は知らないよ」

「私も知らないです」


困っていると、ちょうど1人の先輩が通ったので聞いてみることにした。


「すいません!」

「はい?あ!1年生のトップ3の皆さんですよね?うちのトップに用ですか?」

「そうです!今、どこにいるか分かりますか?」

「あいつらは····多分、闘技場だと思うよ」


闘技場か····さすがは3年生だな。毎日毎日、鍛錬してるんだろうな····とりあえず戦ってみたい。


「ありがとうございます!」

「おう!」


早速俺たちは神の使いがいるかもしれないという闘技場に向かった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

闘技場に着くと、金属音が響いていた。集会で見た3人がいた。


「「「こんにちは!」」」


俺たちは、その3人に挨拶をする。すると3人がこっちに走ってきた。


「お前らは確か····」

「1年生のトップ3の子達だよね?」

「もしかして、会いに来てくれたの?」


「まぁ、そんなところですかね····」

「「はい!」」


この3人こそが、パーティー「神の使い」であるリョーマ、ユー、シュンだ。それにしてもこんなにイケメンだったとは····完璧男め!


「まさか、会いに来ただけじゃねぇだろうな!」


俺は剣を抜いたリョーマの前に立つ。


「あなたがどれ程強いか、試させてもらうとしよう····」


そして俺も、腰の剣を抜く。


「試すだぁ?····だが、てめぇから出てる気は常人じゃねぇな····」


俺たちは互いに「気」をぶつけ合う。


「仁!待って!」


サザナミが俺に向かって叫ぶ。だが、俺はそれを無視してリョーマに向かって走り出す。


「ふっ!」


俺は、リョーマに剣を突き刺そうとする。


(さぁ!どう出る?)


剣は既に、リョーマに当たりそうになっていた。


(あれ?さすがに避けないと不味くない?)


そして俺の剣は····リョーマに刺さった。


(まるで感触がない。ただ刺さっているように見えるだけか····つまりこれは)


俺はその正体と、後ろから飛んでくる攻撃に気づく。


「幻影!本体は····後ろか!」


俺は飛んできた見えない斬撃をもう1本の剣で防ぐ。


「まさか····初見で俺の攻撃を避けるたぁな!」

「幻影魔法の使い手だったとは!」


そう、俺が剣を突き刺したのは幻影魔法の幻影だ。俺はリョーマに視覚を騙されていたのだ。


「その強さに敬意を持って!俺の力を見せましょう!『魂解放アストラル・バースト』」


俺は手に持っていた剣をしまう。


仁の髪はだんだん黒から白く染っていく。そして、目が黒から赤に変化した。そして漆黒のローブが仁の体に纏った。


「てめぇ!なんだぁ?それは····」


俺は、驚くリョーマに近づく。


「これが俺の本気だ····」

『聖剣召喚』『魔剣召喚』


俺は自らの手に聖剣と魔剣を召喚する。


「その禍々しい剣はなんだぁ?」

「お答えしよう····これは魔王が振るったとされる『魔剣』だ····」


「魔剣」という言葉に反応したシュンが叫ぶ。


「リョーマ!」

「なんだぁ?」

「その1年生から離れろ!そいつが持っているのは必殺の『魔剣』だ!」


リョーマは俺から距離を取ることを選んだようだ。


「あなたは戦いから逃げてしまったようだな」


リョーマは汗だくになりながら冷静に俺を見た。


「何?剣を納めてから、何もしてないだとぉ!」


そう、俺は剣をしまってから一歩も動いてはいない。全ては俺の幻影魔法の業だ。


「あなたはまだ、幻影魔法を使いこなせてはいないようだ····」

「くっそぉ!まさか、自分と同じ魔法にやられるとはな····」


シュンやノヴァ達が近づいてきた。


「あの禍々しい姿は····」

「あれは俺の魂の形です」

「魂?僕には少し理解できないな····」

「来るべき時が来たらちゃんと説明します」


俺は適当に話を終わらせた。シュンはそれに納得してくれたようだ。


「人には話せないことなんてあってもおかしくはないですからね····分かりました。でもその時が来たらちゃんと説明してくれよな」


俺はずっと立ち尽くしているリョーマを気にしながらノヴァ達と一緒に寮に戻った。

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