合格発表そして入学式
「ふぁ〜····」
俺はぐっすり····眠れるわけもなく、仕方なく起きることにした。やっぱり、部屋が広いというのに慣れていないため、変な感じになる。
「えーっと····服は」
やっぱり入学式なのだから、ちゃんとした服で行かないといけないだろう····まぁ、いつもの服で良いか。
「よし!」
いつもの黒い服とズボンを着て、防具をアイテムボックスにしまう。
「おはよう〜みんな、よく寝れた?」
俺はリビングにいるみんなに挨拶をする。
「おはようございます。よく寝れましたよ?」
「おはようですわ。私もですわ」
「おはようなのです!ぐっすりだったのです!」
「おはよう····ござい····ます」
どうやらリーはまだ眠いようだな。
「リーはぐっすり眠れなかったのか?」
「はい····あの····もしかして仁さんも?」
「あぁ····」
そんなことを話していると、もうすぐ家を出ないと間に合わなくなる時間になってしまった。
「それじゃあ、そろそろ行ってきます!」
「「「「行ってらっしゃい!」」」」
昨日は、道に迷いながらだったため時間がかかったが、今回はなんと前回より5分も早く着くことが出来た。
「おっ!あそこに人が沢山いるぞ!」
群がる人の中心地点には大きな掲示板があり、そこには大きな紙が貼られていた。その紙をじっと見つめ自分の名前を探している。
「俺も見よう····『
俺は自らの目を強化し、掲示板の紙を見る。
紙は下から、Fクラス、Dクラス、Cクラス、Bクラス、Aクラス、Sクラスと並んでおり、俺の名前は····どこにもなかった。
「あれ?俺は不合格だったのか?」
何度見ても掲示板の紙に俺の名前はない。その時、学園にアナウンスが鳴り響く。
「仁、ノヴァ、サザナミの3人は学園長室に集合せよ!」
アナウンスがプツンと切れる。
「今のは····」
それを聞いた俺は学園長室に向かった。
俺は、1番最初に学園長室に着いた。そしてドアをノックし、挨拶をする。
「神代仁です!失礼します!」
「入れ」
女の人の声がした。とても若い····そしてキレイな声だった。その声を聞いた俺は部屋に入る。
「あの····」
「全員集まったら話すから、少し待っていろ!」
「····分かりました」
そして10分後····
次に来たのは、腰に刀を携えたいわゆる「侍」という感じの女の人だ。そして、とても綺麗だ。それにしても、女の人が多いな。この学校は····
さらに10分後····
次に来たのは、入学試験で、俺の前に並んでいた。赤と黒のローブを羽織った女の人だ。あの時は顔を見ることが出来なかったが、とても綺麗な顔つきをしている。
学園長室に呼ばれた俺たちはずっと何かをしている学園長を待っていた。すると徐に立ち上がって、服を渡してきた。
「あの····これは?」
「いいから着ろ!」
「は、はい!」
すごく威圧的な人だな。でも声が綺麗だからなんとも言えない。
渡された服を着た俺たちを前に学園長が立つ。
「皆、とてもよく似合っている!」
「「「ありがとうございます!」」」
「その服はこの学校の名誉である証拠だ!君たちはその学校の新入生の代表だ!」
マジかよ····俺、新入生のトップ3になってしまった。やはりもう少し加減をしておくべきだった。
「ついてこい!」
「「「はい!」」」
学園長について行くと、そこは真っ暗で何も見えない空間だった。そこに俺たちは並べられて、待っていると明かりがつく。
暗くて見えなかったが、俺たちの目の前には····たくさんの人がいた。おそらく新入生だろう。
「今から、グランクラン武法学園入学式を始める!」
学園長の一言で新入生達が歓声を上げる。
「静粛に!えー····みんな、よくこの学園に来てくれた!私の後ろに並んでいるこの3人は入学試験のトップ3だ!」
さらに歓声が上がる。
「この3人には今から自己紹介をしてもらう!」
(え〜!?俺なんにも考えてないですけど!?急に言われても困るんですけど!?)
「ではサザナミ、自己紹介を····」
「どうも、私はサザナミ・アヤネと申します!得意なのは刀術と水属性の魔法です!よろしくお願いします!」
何やら新入生たちから、「可愛い!」「え、めっちゃ可愛いやん!」「超絶可愛い!」などの声が上がっている。主に男子から。
「次にノヴァ、自己紹介を····」
「ノヴァ・スカーレットと申します。得意なのは槍術と炎属性の魔法です。これからよろしくお願いします」
「彼女は次期炎帝だ!だが、みんなは友達のように話すように!」
新入生たちの反応は、俺の思った通り、「可愛い!」「美しいわ!」「次期炎帝!?マジかよ!」などの声が上がる。
「次に仁!お前が最後だ!」
「神代仁と申します!得意なのは剣術。得意な魔法は····特にありません。よろしくお願いします!」
新入生たちの反応は酷いものだった。「ふざけるな!」だの「どうして得意な魔法がないのにトップ3?」だの····得意な魔法は時間魔法だが、あれはこの世界では希少過ぎる。
「静粛に!彼はこの新入生のトップであり!君たちの目指す『頂点』だ!」
新入生たちは、みんな「えー····」とでも言いたそうな目をしていた。
「みんなは信じられないようだな!ならばこの後、模擬試合を行う!闘技場に集まれ!」
新入生たちがぞろぞろと闘技場に向かう。俺達も闘技場に向かった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「それでは模擬試合を始める!トップ3人は出てこい!」
学園長に呼ばれて、俺たちは並ぶ。
「今から、2対1で勝負をしてもらう!仁、お前は1人でこの2人を相手にしろ」
「え?」
「つべこべ言わずにやれ!もちろん本気で構わん!」
俺は2人の前に立つ。そしてお辞儀をする。
「よろしくお願いします!」
2人もお辞儀をする。
「「よろしくお願いします」」
「それでは!カウントダウンを始めろ!」
学園長が少し離れて合図を出すと、カウントダウンが始まった。
「3、2、1、スタート!」
カウントが0になった瞬間、俺は魔法を発動し、走り出す。
「『
もちろん、2人の反応は····困惑だ。
「見えない!どこに行ったの!?」
「くっ!捉えきれない!」
そんな2人の肩を俺は魔法を解除しながら叩く。
「俺はここだよ?」
「「いつの間に!?」」
サザナミの刀が高速で、俺の体に振りかざされる。
「おっと!危ねぇ····」
あの侍だけは俺の動きを何となく把握していたようだ。あれは将来有望だな。
すると観客席から俺に声が届く。「逃げるだけかよ!」とか、「本気でやれよ」だの····仕方ない。
「『
俺から出た衝撃波が2人を吹き飛ばす。そして、模擬試合が終了した。
観客席からの声は俺を罵倒する声ではなく、俺を称える声にいつの間にか変わっていた。
「これで、この男の強さが分かっただろう!これで入学式は終わりだ!解散!」
みんなが解散したあと、俺は倒れた2人を医務室まで運んだ。
「俺、このまま無事に卒業できるだろうか····」
心配になりながら、俺は自分の寮に行く。この学園は全寮制で、家には1週間に1回しか帰ることが出来ない。
俺は寮の少し狭い部屋で眠りに着いた。
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