いま目の前にないもの
春嵐
AoL
精神的な攻撃を受けた。何を受けたか、何によるものなのか、まだ分からない。
起き上がった。服を探す。家の中では反撃のしようがない。上はまだしも、下は履かないとまずい。この前買ったホットパンツがあったっけか。この際スカートでもいいや。
鍵と、財布だけ持って家を出た。攻撃。断続的に続いている。
何かからの攻撃を受けることは、ときどきあった。今回は精神的なもの。実体ではない。どうにかして攻撃の出どころを探さないと、対策がとれない。
むかしから、こんな感じだった。何かの攻撃を受けて、それに対して反撃する。そういう人生。他は普通。たぶん地元に就職して税金納めて年老いて終わり。ただ、攻撃と、それに対する反撃だけは一生続くだろう。
攻撃について、他人に喋ったことはなかった。喋っても理解されることがないし、それを理解してもらう必要がないからだと自分で思っていた。他の誰にもない、自分だけに起こる事だったけど、それが唯一至上のものだとも思わなかった。ただ単純に、自分はこういうものだと思っていた。
そして、人生で初めて、攻撃に屈した。
人生最後の攻撃。
恋だった。
いま目の前にないもの 春嵐 @aiot3110
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