直の告白




朝、目が覚めて、一番に襲ってきたのは虚しさ。

なんであんな夢を見たんだろう?


「もう限界、かな?」


ボソッと吐き出した言葉は誰に届くことなく消えていった。

悲しくて辛くて、もうこの先なんて全く見えない。

それでも学校には行かないといけなくて、だるい体にムチを打って家を出た。


「…和明くんっ」


家を出た途端、聞きなれた声に足が止まる。

目の前には会いたくて──会っちゃいけないと思っていた人物。


「直…先輩。なっ…どうしたんですか?」


あくまで平常心を装うつもりが、声が震えてしまう。


「どうしたって…和明くんの…っ、せいだよっ」


「え? せん、ぱい…?」


突然悲しそうに涙をこぼし始めた直の姿に、明らかに和明の表情に戸惑いがみえた。

本当ならここで抱きしめてあげたい。

なのに、あの先輩の言葉が気になって怖気付いてしまう。


「嫌いになったなら…そう、言ってよ。こんな風に避けられるの…もう耐えられない」


違う、嫌いになんてなってない。

そんな想いを声に出せない自分に腹が立った。

散々傷つけたのは自分。

逃げたのも自分。

それを誰よりもわかっているから、和明の足は竦んでしまった。


でも、ここで同じように避けたら、きっと戻れなくなる。


「嫌いになんて…なってませんよ」


「じゃあ、なんで…?」

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