直の告白
朝、目が覚めて、一番に襲ってきたのは虚しさ。
なんであんな夢を見たんだろう?
「もう限界、かな?」
ボソッと吐き出した言葉は誰に届くことなく消えていった。
悲しくて辛くて、もうこの先なんて全く見えない。
それでも学校には行かないといけなくて、だるい体にムチを打って家を出た。
「…和明くんっ」
家を出た途端、聞きなれた声に足が止まる。
目の前には会いたくて──会っちゃいけないと思っていた人物。
「直…先輩。なっ…どうしたんですか?」
あくまで平常心を装うつもりが、声が震えてしまう。
「どうしたって…和明くんの…っ、せいだよっ」
「え? せん、ぱい…?」
突然悲しそうに涙をこぼし始めた直の姿に、明らかに和明の表情に戸惑いがみえた。
本当ならここで抱きしめてあげたい。
なのに、あの先輩の言葉が気になって怖気付いてしまう。
「嫌いになったなら…そう、言ってよ。こんな風に避けられるの…もう耐えられない」
違う、嫌いになんてなってない。
そんな想いを声に出せない自分に腹が立った。
散々傷つけたのは自分。
逃げたのも自分。
それを誰よりもわかっているから、和明の足は竦んでしまった。
でも、ここで同じように避けたら、きっと戻れなくなる。
「嫌いになんて…なってませんよ」
「じゃあ、なんで…?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます