直の告白
もう一週間も直とまともに会話していない。
和明の中には罪悪感と寂しさがぐるぐるとしていた。
会いたいのに会えない。
そんな状況をどうにかしたいのに、自分で動く勇気なんてなかった。
最近は食欲もなく、帰ったら軽く夕飯を済ませてベッドに潜り込む日々。
母親は心配して熱でもあるのか、と訪ねてくるが、そんな理由なんかじゃなく、直のことを考えすぎて食事も喉を通らないのだ。
そんか理由、母親には決して言えなかった。
「今日も寂しそうな顔してたな…」
ベッドに体を沈めながら呟いた言葉は宙へと吸い込まれる。
考えるのは直のことばかり。
最近授業も上の空で成績が落ちているが、それすら頭に入らなかった。
静かな部屋に聞こえる時計の音が妙に大きく感じ、それを遮るように頭から布団を被る。
そのまま瞳を閉じれば、すぐに眠りへと落ちていった。
その夜、夢の中では直が隣にいて、二人で幸せそうに微笑みあっていて、一瞬現実のような気さえした。
『先輩、愛してますよ』
耳元でそう囁き、顔を真っ赤にする直の体をそっと抱き寄せる。
ああ、これが夢じゃなければ、と和明は願っていた。
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