入学式







週末、和明と直は野球場に来ていた。

野球好きな二人は生で見る試合に興奮し、試合終了まであっという間だった。


「楽しかったな」


「はいっ! 先輩、今日は付き合ってくれてありがとうございました」


「僕の方こそ誘ってくれてありがとうね」


「…先輩、なんで僕が先輩を誘ったか気づいてませんよね?」


「チケットが余ってたから?」


「…ほんと鈍い。僕は先輩が好きなんですよ。生徒会に入ったのも貴方を追いかけたからなんです。男からこんなこと言われても気持ち悪い…ですよね」


言うつもりなんてなかったのに、つい気持ちが溢れ出てしまう。

もうこれで生徒会にも行けないな、なんて最悪の予感しかしなかった。


「ぼ、僕も…好きだよ? 恋だなんて今の今まで気がつかなかったけど、和明くんに好きって言われても、全然気持ち悪くない。むしろ嬉しいんだ」


「それって…僕と付き合ってくれるって…ことですか?」


和明のストレートな言葉に顔を真っ赤にしながらも、直はこくりと首を縦に振る。

その肯定の仕草が嬉しくて、つい抱き締めてしまっていた。

そのまま唇を重ね合い、和明の頬はだらしなく緩んでいった。


そのあと、直に「こんな公共の場所でキスするんじゃない!」と怒られたが、そんなお説教耳に入らないぐらいに和明は幸せで満たされる。

そんな彼を見ていると、和明もそれ以上は言えなくなり、自分も嬉しかった為、結局許してしまった。

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