6.俺って特別!と思ったけどそうじゃなかった件について。

「ここです。」

夜ト君に案内された会場には、渋谷のスクランブル交差点か!と、ツッコミたくなるほど人が溢れていた。

「みんな、日和さんと同じ参加者だよ」

「こんなに?!」

もしかして、俺って特別!と思ったけどそうじゃなかった?!

実は、「貴方は主人公でしたよ」ってパターンの人多くなーいですかぁ?!


「まぁ、大体は梔子の奴らだろうけど…」

「えっ?」

なんかボソボソっと夜ト君がいったが聞き取れ無かった。

「頑張って。終わった頃に迎えに来ます。」

「え、あ、はい…」

「では…」

「あ、ちょっ!待ってください!」

おもわず夜ト君の服を掴む。

「?」

不思議そうに首を傾げた姿もイケメンだがそこは今重要じゃない!

「あの!試験内容って?!俺死なないですよね?!」

「…試験内容は都度変わるから分からない。けど、力を使えたら死なないよ。」

「力って水のってことですかぁぁ?!俺、使えないですよ!」

「あまり自分の特性を言うの良くない。変なやつにつけ込まれる。」

「あ、すみません。」

きゅっと眉を寄せた夜ト君に素直に謝った。まぁ、そうか。漫画の展開とかでも「相手の能力とはー?!」って感じで結構重要事項だしな!

「でも、俺本当に使えないんですよぉ?使えなかったらしぬんですか?!」

声量を抑えて聞く。聞かないと!

「うーん。死にはしないと思うけど、死ぬ可能性がないとも言えない。」

「なんか試験なんだから、コツとか攻略法とかは…」

「…を聞くことだよ」

「いや、それはさっき日和さんに…というか、声って…?」

「…声は声です。」

…夜ト君は日和さんと違って話が通じると思ったけど、はい。やっぱり兄弟ですね。

「あの人と同じだと思われるのは色々な意味で心外です。きっと試験を受ければ声が何か分かります。」

「…」

「あ、そうです。ちなみにこの試験を逃げたり受験しなかったりしたら…。今後の日和さんの身の安全は保証できません。」

「えっ」

そして視線で受付を促される。

俺の身の安全…!拒否権ないのかよ!

「拒否権も何も、貴方は見える様になったんですよ?このままだと鴨です。」

「鴨?!」

「試験を受ければ分かります。」

「…」

「あっちで受付をしています。頑張ってください。」

「…はい。」

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