5.俺は適性試験を受けるらしい。…主人公は死なないっていうスキル発動するよね?!
「それから、これからですが。」
「あ、はい。」
はい、夜ト君の知りたい情報を的確に察してくれる所、好きです。
「日和さんには自然エネルギーを扱えるのかどうかの適性試験と訓練をしてもらおうと思います。」
「へ?見えたら使えるわけではなく?」
「見えるかどうかは、絶対条件。自然エネルギーに身体が耐えられるか、そして使いこなせるかは別の話です。」
「…はぁ。でも使いこなせないかもしれないですよ?」
「貴方にはきゅー吉がなついてますし、水の適性がある可能性が非常に高いと思いますが…」
「もし、適性がなかったら…?」
「それはないんじゃないですか?」
「えっ」
「兄さんが連れてきたから。兄さんは掴みどころがないし、何考えているのか分からない。仕事もサボるし、会議もすっぽかす呆れた面もありますが、人を見る目はあると思ってます。」
…少し愚痴入ってたのは気のせいだろうか。説得材料少ない気がするぞ。
「はぁ…あの、きゅー吉は…」
「そうですね。貴方に懐いているので一緒にいてもいいんじゃないでしょうか?」
「そうなんですね」
「基本、精霊は自然からのエネルギーを自分の糧にしてますからね。ご飯も入りませんし。」
「そうなんですか?!」
「はい。ですが低級の精霊だったり、不安定な場合は人に憑いたり力を吸ったりしますが、きゅー吉は大丈夫でしょう。」
「はぁ…」
「では、今日は遅いのでまた明日。部屋に案内しますね。」
「はい…あ!」
「あぁ、お母様には連絡済みです。因みに高校の方も大丈夫ですからそちらも気にせず。」
「は、はい」
もはやエスパーですか?!
「顔に出てるだけです。分かりやすすぎます。」
「そうなんですか?!」
「きゅーるぅぅぅ!」
ぱたぱたと少し楽しそうにしっぽを降っている。なんだよ、お前も分かりやすいってか!…なんだか悔しいぞ!
朝。昨日は超豪華な部屋に案内されて、超豪華な料理を頂いた。
語彙力ないとか思うなょ?人間、自分のキャパ以上の出来事に合うと表現できないんだよ、このヤロー!そして、めっちゃ広い!超ふかふかなベットはテンション上がった。
し!
か!
し!
俺は睡眠に至っては超デリケートだ。
いつもの布団と枕じゃないと寝れないんだ!
という設定が欲しかった。
秒で寝た。
最高だった!
朝はめっちゃ元気だ!
きゅー吉も元気!よし!
朝ごはんも超豪華だった、最高だ。
「あ、おはよー。よく眠れた様でよかったよ。困った事があったら、夜トに言えばいいよ。」
「そこは日鞠様じゃないんですね。」
すかさず、あられさんがつっこむ。
「えー僕?うーん。まっ、時間があればね。」
といって、笑顔で手をひらひらして部屋を出た。
小さいため息が聞こえた気がした。
その後に夜ト君がきて、最高に眠そうだった。…朝、弱いのか…。
朝ごはんのあと、広間に夜ト君と向かった。どうやら適性試験の会場があるらしく、そこまで送ってくれるとの事だ。適性試験か…。夜ト君は、俺には水の適性があるって言っていたけど…どうなんだろう。というか、あったとして使いこなせる様に訓練するのまではわかった。うん。
問題はその後だ。
…俺は悪の組織と戦うのか?ある日突然正義のヒーローとか言われたら、これはもう「俺って実は主人公?!」って思っちゃうのはしょうがないよね?だけど、ほら?ヒーローになったとして?俺生き残れるのか?まだ彼女もいないのに、殺されちゃったりしないよね?!
「大丈夫です。そんな最初から危ない仕事はないですよ。」
「最初は…」
「はい。それに、難易度の高い仕事は才能がある人達しかできません。」
「…」
…俺には才能がないと?
「きゅーう!」
きゅー吉が少し低い声で唸った。…!きゅー吉!
「君に才能がないという訳じゃありません。ただ、本当に命の危機かある任務をまかせられるのは一握りだと言うことです。」
そういう夜ト君は苦虫を噛み潰した様な顔をしていた。
「…」
「はは、君達同じ年なのに敬語なんだねー。同じ年だからすぐに打ち解けていると思ったよ。」
「兄さん…」
日鞠さんが広間にいきなり現れた!
「みんな日鞠様見たいなお花畑じゃありませんよ」
と思ったら、すかさずあられさんのツッコミが入った。
というか、あられさんって結構言うタイプだよな。しみじみ。
「えーそうかなー?僕は結構、つっきんとは同じ年だから仲良くなるの早かったよー」
「はー、2人とも異常なんです。普通、距離感というものはデリケートですよ?」「うーん。あられはデリケートすぎると思うけど?」
「ま、とはいえ。日和君にはこれから試験に行ってもらう訳だけど。死なない程度にがんばってね!あ、それからきゅー吉は残念ながら一緒には連れて行けないから、夜トに預かってもらって。」
「えっ、はい?」
死なない程度に…?
えっ、さっき…。
チラッと夜ト君を見ると目を逸らされた。
っえ?!
「うん、日和君!先輩のアドバイスだ!声はよく聞くことだよ!」
「へっ?」
声…?
「声って…?」
「声は声だよ!あ!君は僕たち冬を司る柊一門の出ってことだから、よろしく頼むね!」
トンと軽く肩を触り、ばっちーん★とウインクを飛ばされた。
全然わからん!そして、イケメンだな!
…主人公は死なないっていうスキル発動するよね?!
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