3.イケメンの弟はイケメンだった。
日鞠さんと話しているうちに、車が止まった。そーいえば、俺はどこに連れてこられたんだ?何も聞いてない。聞いたのは日鞠さんが中二病なテンションで正義のヒーローだということと、それに俺が加入した事だ。俺はヒーローブラック的な感じか?いや、色ならブルーがいい。クールでかっこいいのがブルーだし!
「あ、着いたね。ありがとう、あられ。夜トってどこにいるか知ってる?」
「残念ながら、私も今屋敷に着いたばかりなので存じません。」
運転手なんだから、到着一緒なんですけど?みたいな視線が痛い。
俺に向けられている訳じゃないけど痛い。
「そっか。おいで、日和。」
「えっはい。」
…とりあえず、日鞠さんについていこう!
えっ、正義のヒーローじゃなくて…ヤ○さんだった?
えっ。いかにも任侠ものに出てきそな屋敷に、ずらっと頭を下げてる人が奥まで並んでいる。
摘んだ。
「おかえりなさいませ、日鞠様」
「うん、ただいま。夜トはどこか知ってるー?」
「夜ト様なら…」
「…兄さんか。俺に何か用?」
「あ、夜ト《よると》。よかった。こっちは日和。これから頼むよ。」
「「えっ?」」
「じゃーね。あられ、あの会議の資料についてなんだけどー」
「かしこまりました。すぐ用意します。」
日鞠さんと運転手のあられさんは去っていった。
日鞠さんはひらりと手を振ったが、そんなのいらないです!
説明して!
えっちょ、困る!気まずい!えっ?!だって、夜ト君だっけ?そっちも目が点だよ?!そして、こっちもイケメンだな、くそ!イケメンの弟がイケメンとか当たり前か!!!どーする?!
「あ、僕。柊夜ト《ひいらぎよると》です。」「えっ、あっあ、俺、冬咲日和です。」
「「…」」
しゅーりょー!!
俺なんで、言葉なんか続けなかったー?!終わったよ会話!せっかく話してくれたのに!
「…それはどうしたんですか?」
腕にかかえているキュー吉を見て夜ト君は問いかけてきた。
「…俺の部屋にいました…」
「兄さんから何か聞きましたか?」
「あっ、精霊ってことは。あと、日鞠さんは正義のヒーローで俺も入隊したようです。。」
「…」
あ、待って俺。説明ミスった気がする。
「何となく分かりました…。兄さんがご迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした。」
ペコリと背を曲げた夜ト君。
「えっ、いや!そんな…」
「詳しくは恐らく聞いてないですよね?」
「はい!」
「すみません。説明しますね。こちらへ」
えっ、夜ト君めっちゃ話わかってくれるんだが…。日鞠さんがアレだから弟はこうなったのか?!これは良いことなのか?!
俺はきゅー吉を抱え直して、夜ト君についていった。
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