第20話 訪問

「やあ、こんにちは」

イデルたちの目の前に

見覚えのある人物が立っていた。

昨日戦ったB&Bである。

彼がこの古ぼけている

家の前にいるのだ。


少なくともイデルは

驚いて声も出なかった。

「…なんで」

「突然押しかけてしまって

 すまない。

 昨日はバトルだけで

 終わってしまったからな。

 実に楽しかった」

とB&Bが嬉々として語っていた。

あれだけ激しい接戦だったというのに

楽しかったで済ます彼の考えに

いささか不信感を持ったイデルであった。


ここではなんだと思い

イデルは狭い部屋に

B&Bを招きいれた。

B&B、イデルとシロで対面なるよう

テーブルに座った。

「…大丈夫なんですか?

 お怪我は」

「まだ痛みは引かない

 だが、それ以上に話したいことが

 あってだな」

シロだけではなくイデルも

首をかしげる。

「うちと

 我が”テクノポリス”と

 同盟を結んでほしい」


”テクノポリス”

この森の中にある

鉄の塊…、ロボットや機械が

住む都である。

町から出たことのなかったイデルは

その存在を知らなかった。

いや、それどころかほかの住人も

知る由もない。

そこは今まで肉眼では見えないように

なっていたのだから。


「今まではエフェクトをかけて

 森と同化していたんだよ。

 変に詮索されるのを

 我々は嫌う。

 しかし、このまま

 干渉されずに居続けるのは

 困難だ。

 だからこそ強い相手と

 同盟を結びたいと考えたわけだ」

「だいぶ、すごいお話ですね…」

「前のボスは様々ね点にに難があったからな」

以前のボス、ゴブリンとオーガのボンゴの時。

―確かにあの二人では仲良くすのは

―難しそうだなあ。

しみじみと感じるイデルである。


「でも、同盟といっても何をすれば…」

このような事態はイデルは経験したことはない。

人生で経験するとは思わなかったほどだ。

イデルが悩んでいるとB&Bが話し出す。

「そうだな、敵襲などアクシデントに

 お互いに対応すること、

 他には貿易で有益な物品を交換する

 といったことかな」

「うーん、貿易ですか…。

 そちらで、何か必要なもの

 とかありますか?」

「そのことなんだが、

 この町に農業に長けた者はいるか?」

「まあ、食い扶持を増やすために

 だいたいの人が心得はあると思います」

「今、バイオ燃料の開発を進めているんだ。

 草花からオイルを収集しようという考えだ。

 それを代わりに育ててはくれないか?

 機械だとなかなか限界があってな」

「ああ、それならできそうですね。

 いいですよ」

「感謝する。

 では、こちらからは

 『電気』を供給しよう」

「『電気』?」

「生活を見ると火を使った生活が

 主のようだったな。

 それを置き換えることをできれば

 灯りの確保、寒波への対策、

 安定した熱源の確保など

 様々なことに活用できる」

―そんなことができるのか…。

正直、その提案は魅力的であった。

お互いに助け合って

生活できるのは、願ったり叶ったりだ。

「僕だけではなかなか判断しかねるので、

 みんなとも相談しますね。

 大変魅力的なものなので、

 みんな賛成しそうですが」

「おお、いいぜ。

 返事を待つとしよう」

B&Bが大きくうなずく。


「…あの、少し変なお願いなんですが…。」

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