第17話 青い閃光

目を開けていられなかった。

耳が壊れるかとおもった。

何が起きたかわからなかった。

気付いた時にはシロの足元から

黒煙が上がっていた。

それを視認したと思うと

次から次へと光の攻撃が始まった。


何か弾けるような激しい音。

体の毛が逆立つような感覚。

体がしびれるような痛み。

すべてイデルが感じたことがないものだった。

この時初めて感じた。


『死』というものを


徐々に周りが見えてくる。

先ほどまできれいな草原があったというのに

焦げ跡が斑のように残り、

地面がむき出しになっていた。

そのような有様の中で、

二人は今だに 戦いを続けている。


B&Bの周りには青い稲妻が

まるで生き物のように動いていた。

彼が手をかざすとシロめがけて

稲妻が走る。

かなりの速さで向ってきたにもかかわらず

シロは身軽にかわした。

しかし、彼女の服の所々には焦げ跡が残る。

今までの音とこの惨状から

戦いはかなり激しいものだったに違いない。


「何を考えている」

B&Bがシロに問いかける。

その声色は強い。

「なぜ、攻撃してこない。

 隙はあったはずだ。

 ただ逃げるだけか?」

その言葉を聞いてイデルは愕然とする。

―攻撃してない?

―1回も?

―あんなに攻撃されているのに?

するとシロは口を開いた。

言ったのはたったの3つ。

「イデル、

 殺し、

 嫌」


「…え?」

最初はなんだかわからなかった。

イデルは考えた。

そして、

この3つからわかること

それは、

「『僕』が『殺』し合いを『嫌」だって言ったから?」

シロはうなずいた。


「は、はは


 ははははははは!!!」

突如大きな笑い声が響く。

B&Bだ。

「あー。そうか、

 それが君が決めたことなんだ」

彼は空を仰ぎ呟いた。

「じゃあ、こうしよう」

手を振り上げた。

青い稲妻がまるで弾丸のように放たれた。

しかし、それはシロではなく

イデルの方に放たれた。

―やばい!避けられない!

イデルは固まるしかなく、

衝撃に備えるしかなかった。

…だが、いつになってもその時はこない。


目の前には先ほどまで遠くにいたはずの

シロがいた。


「やっぱり、そういうことだったか」

満足そうな声で、B&Bは呟く。

イデルの目の前にいるシロは


『青』の瞳に変わっていた。

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