2章 断罪者編

No.031 沙汰もカネシダイ



 京都へは東京駅から新幹線で1時間。

 それから京都ダンジョン専門国立高等学校という姉妹高の寮で寝泊まりすることになる。

 そして理事長もついてきていて、なんとも面白くない提案をしてきた。


「こうやってダン高と京ダン高が集まったのだから決闘でもしようじゃないか。ダン高から出たい人」


 な、なんだ。

 てっきり理事長の事だから僕の事を指名するかと思ったけどこれなら面白そうだ。


「やらないのか?」

「えっ、僕? 僕はやらないかな」

「そうか。なら」


 色々あって席はグチャグチャで僕の隣には一松いちまつ文鷹ふみたかがいる。

 通称ヤクザというか、見た目がヤクザが急に話しかけてきて驚いた。

 けど話してわかったけど怖くない感じかな?

 それに手を上げてるし。


「おう、一松くん。お願いできるかな? 京ダン高でやりたい者」


 京ダン高も1人の生徒が手を上げた。


「それでは、ただいまよりダン高A組2番一松文鷹 対 京ダン高A組5番ルーク・アインデルンの決闘を開始します。始め」


 「始め」の合図でお互いに武器を構えた。

 一松くん、ここでは文鷹にしておこう。

 文鷹は相も変わらず業物の短刀で、相手のルークは魔法剣を2本、レアなやつだろう。


 先に動いたのは文鷹で短刀を上手く使いながらルークの懐に潜ろうとする。

 それをルークは二刀流でどうにか防いでいるが防戦一方になっている。


「魔法剣 ルミナス。魔法剣 ダークネス」


 片方の剣は光り、もう片方の剣は黒光りする。

 それに合わせてルークの剣捌きも素早くなりそれをあっさりと受け流している文鷹。

 短刀にはつばがついていないから本当に受け流しすという綺麗さで、やっぱり見ていてれする。


「神器一体」


 文鷹は何かをボソッと呟いた。

 次の瞬間にはルークが吹き飛ばされて、服だけ綺麗に斬られていた。


 ここでのお約束の女の子だったという展開はなかったのが残念。

 いや、和紗がいるから別にいいし。


「そこまで。勝者、ダン高の一松」


「お疲れ」

「あぁ」


 素っ気ない返事をされてしまった。


 それからA組は1人1部屋割り振られた。

 明日から本格的にダンジョンに潜っていく。

 組み合わせは理事長が言った通りなら僕は和紗と一緒のはず。

 そうすれば気兼ねなく吸血鬼の力を使うことが出来るというものだ。



 ※



 ダン高と京ダン高のA組の生徒は伏見稲荷大社にあるランクAダンジョンに潜ることになっている。


「それでは組分けを発表します」


 ココナ先生が声を張り上げて指示を出していく。

 理事長には感謝しないといけないな。


「やったね。同じだよ」

「理事長が手配してくれたんだって」

「そっか、かなで先生が」


「それでは組分けは以上です。皆さんも知っての通りレベルというが概念がありますから無理だと思ったらレベルを上げながら挑戦してください。後、くれぐれも命を第1に行動してくださいね」


「「はーい」」


 「どっかの小学生か」とツッコミをいれたくなる気の抜けた返事を返す。

 

 さて、ここで僕のステータスを見てみよう。



 ================


 鬼灯ほおずきかずら (16)


 種族:吸血鬼第二始祖   Lv. 106


 HP体力

 S


 STR武器行使力

 S


 VIT防御力

 S


 INT魔法行使力

 S


 MEN精神力

 S




 ================



 こんな感じになっている。

 設定を人間にしているからめっちゃ強そうだけど、これでもコアルさんに勝てないのだからおかしい。

 


 ※



 伏見稲荷大社横 ダンジョン



 ~~32階層~~


 今行ける最下層は32階層で、転移の魔法陣はなく、ボスを倒さないと次の階層に行けないようになっているようだ。

 そこまではなんなく進むことが出来た。

 なぜか、それは京ダン高の生徒たちが道を覚えていて教えてくれたからだ。


「さて、誰が行く? ちなみに5人だよ」

「5人ってなに?」

「5人死んだってこと」


 僕の質問に答えてくれたルーク。

 

「どんな敵なんだ?」

「一松くん行く気になった?」

「俺は聞いただけだ」

「それが負けたら死ぬ訳だからわからないのが現状。誰が入るときに覗き見ることも申し訳なくってね」


 なるほど、敵はわかんないときたか。

 もし、未知の敵だったら面白そうだな。


「ねぇねぇ。その前に自己紹介しようよ。まずは私から。京ダン高 A組の1番、ルトラ・ラル。よろしくね。ペトラとは幼馴染みなの」


 ペトラの猫耳とは違いルトラは犬耳でなんとも言えぬ可愛さ。

 幼馴染みということからこっちも王族だろう。

 たしか、獣族には5つの種族から王族を出してたってTVで観たような観てないような。


「次は俺さまだな。京ダン高 A組の2番、俺さまはロード。ドワーフだけどよろしくな」


 中1くらいの身長で横にふくよか。

 ドワーフの純血なのだろう。


「はいはーい。私は京ダン高 A組の3番、宇崎うざき鎖那さなだよ。よろしくね」


 どこがとは言わないが無駄に主張してくる女の子。

 高校1年生か? と思うほどの発育だ、どことは言わないけど。


「京ダン高 A組の4番、マルク・デートル」


 とっても顔の整っている青年って感じだ。

 それに観たこともあるような。


「俺は子役をやっていた。過去形だからな」


 だから観たことあったのか。

 たしかアクション系のドラマかなんかに出てたんだっけ。


「次は俺だな。知ってると思うが京ダン高 A組の5番、ルーク・アインデルンだよ。種族はエルフだよ」


 ルークは文鷹と勝負した二刀流使いだ。

 エルフらしいけど耳はそんなに尖ってない、むしろ普通だ。

 なんら人間と変わりないように見える。

 まぁ、僕も吸血鬼で見た目は人間となんら変わりないけど。


「き、京ダン高 A組の6番、大星ミカン」

「そして私が7番のリンゴ!」


 うん、双子だね。

 とても似てるけど性格は結構違うっぽいな。


「京都ダンジョン専門国立高等学校A組の8番、楠木くすのき神人こうとだ。かみひとと名前は痛いがよろしく頼む」


 THE 真面目タイプな感じの人だ。

 てかダン高と比べて個性が弱いような。

 否、ダン高の個性が強すぎただけか?


「9番はちょっと色々あるからなので10番の僕。僕はテラ。よろしくね」


 なんとも騒がしい僕っ娘な女の子だ。

 見た目は小さな童女と表すのが正しいか、それにしても人間とはちょっと違った気配なんだよな。

 もちろん吸血鬼でもなく、エルフやドワーフでもない。


「これでも僕は神の遣いだからね」


 あっ、うん。

 自称頭のおかしい種族、天神族だったか。

 

 そのあと、ダン高みんなが自己紹介を終えてから、


「姫山快斗くんって親がプロのダンジョン攻略者だよね。なら快斗くんの実力を見たいかた行ってきてよ」

「えっ、お、俺? いや、でも俺は今ぶ――――」

「――――成績優秀で色々なダンジョンもクリアしたって有名だよ。1人で大丈夫だよね。そうだ、魔法の目。行ってらー」


 テラは捲し立てるようにして姫山をボス部屋の中に放り込んでしまった。

 それとちゃっかり魔法の目も一緒に。


「テラ、いつも勝手な事はしないでって言ってるでしょ」

「大丈夫だよ。助けるために入ることもできるし、それに人間じゃない強い人もいるんだから。それに今日はダン高も一緒だよ? どんな敵でも負けないっしょ」


 テラはなんの魔法を使ったのか魔法の目で見ている物を壁にスクリーンとして映している。

 それを見るとわかるのが姫山は逃げながら弱い魔法を撃つだけで武器を抜こうとしない。

 それどころか傷が刻一刻と増え続けている。

 それなのにテラは誰一人としてボス部屋には入れる気がないようだ。


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