第4話 心に百合を! 拳に愛を!!

第4話 心に百合を! 拳に愛を!!①

 黄昏たそがれの茶畑。

 文字通り逢魔おうまが時、私達の前に悪魔が現れる!


「HAHAーHAッ! ユーが、ミスター・アルダ=ギルズを倒したというジャパニーズ・マジカルガールね!? ナイスToミートゥー! 殺す!!」


「濃ゆっ! 濃っゆっ!? そして言ってること怖いし!」


 タンクトップに筋肉むっきむき!

 とりあえず、悪魔としては斬新過ぎると思うの!


「てか、どこが悪魔よ! ただの変な外人じゃん!?」


「oh、ユーの目は節ホール? この翼が見えないネ!?」


 あ、ホントだ。

 ちっちゃいけど、悪魔っぽいコウモリの羽根があるし。


「って、納得するか! 二回目の敵でこんな濃ゆいの有り!?」


 とにかくピンチ!

 その悪魔は、ボディビルダーちっくにポーズを決めて、宣戦布告!


「ミーの名は騎士級悪魔アイゼンシュティーア! HEY、百合魔法少女! クイーンの野望の為にも、死んでもらうネー!!」


 ※ ※ ※


 そして、その悪魔は!

 飛行しながら、眼からビーム! ビーム! ビーム!!


「いや筋肉使いなさいよ!?」


 てか、変身前に攻撃するなってば!


「日本的な奥ゆかしさが足りないよね! これだから悪魔は!?」


 ほら、ステファニーも怒ってる!


「魔法少女の全裸変身を見る前に倒そうだなんて、そんな勿体無いこと! ホモだからって許さないよ!?」


 怒りの理由そっち!?


「HAHAHA! ミーはデビル! 悪者ネ! 勝てばよかろうなのデース!!」


 そしてまた、眼からビィィーム!


「茶畑が! 私達の町の宝がッ!!」


 ビームで焼き払われた!


 ひどい!? なんて悪魔の所業!!


「狭山市からお茶をとったら、何が残るって言うのよ!?」


 埼玉県狭山市の名産、狭山茶。

 古くから「味の狭山茶」と言って、宇治茶、静岡茶と並び称される銘茶なんだよ!


「とにかく! 早く変身しなくっちゃ!!」


 でも、どうやって?

 キスの相手がいないし!


「ノー! 逃げるのバッドね、百合魔法少女!」


 痺れを切らしたか、悪魔が舌打ち。


「HEY、これをルック!」


 存在がギャグな見た目に似合わず、邪悪に唇を歪ませて!


 悪魔アイゼンシュティーアは、掌の上、何かを差し出す!


「あれは、人魂!?」


 どう見ても人魂!

 それも無数の!


「た、大変だ、りりな! あの魔力波長、あれは君のクラスメート達だ!?」


「何ですって!?」


「HAHAーッ! ここに来る前に、ユーの学校を襲ったデース!」


 こ、こいつ!


「……ガール達の魂を抜き取らせてもらいマシータ。この状態では、長くはもちませんヨ? 逃げても良いですが、フレンド達を見捨てるネ?」


「あ、あなたはッ!!」


 やっと、私は理解した。

 百合とかBLとか抜きにしても、こいつらは「悪魔」。

 倒すべき、敵なのだと。


 きっ、と。

 怒りに燃える瞳で、悪魔を睨む!


「……絶対に、許さないから」


「oh、ナイスな目デース!」


 悪魔は怯まない。当然でしょうけど。


「だ、だめだ、りりな! 逃げるんだ!」


 ステファニーが、今だけは本当に、真剣な声で叫ぶ!


「変身しないで戦える相手じゃないよ! 早く逃げて、女の子とキスをするんだ!?」


「うっさい! アイツ、絶対に殴る!!」


 ……ごめん、私の頭、完全に血が昇ってる。


 でも許せないのよ、こういう卑怯な奴!!


「HAHAーHAーッ!! 所詮負けドッグの遠吠えネ! ユーに何が出来マース!?」


 勝ち誇る悪魔!

 その瞳に邪悪の凶光が輝き! ビームとなって放たれようとする!


「グッバイ、百合魔法少女! 無力さに泣き叫びながら、Go toあの世!!」


 その時!


「りりなぁーっ!!」


「さ、早百合!?」

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