第2話 最強! 無敵! 百合魔法少女!!②

 いきなりだけど、私の街がピンチです!


「何これ怪獣映画!? どうすんのよこれ!?」


 巨大化した悪魔……アルダ=ギルズという名前らしい……は、とっくに人間の姿を辞めている。

 例えていうなら、に、肉塊?

 黒くて、でかくて、触手がいっぱい生えてて。

 とにかく怪獣よ! 怪獣としか呼びようが無いわ!?


「ああん、せっかくの美形さんが!?」


 空を飛んで逃げる私の腕の中、早百合さゆりが嘆く!


「悪魔だからね。大抵、真の姿はあんなモノだよ! SAN値を削られないよう注意してね?」


 腕に引っ付いてるクマのぬいぐるみ……もう面倒くさいか、命名、ステファニーね。

 ステファニーが注意を喚起。

 ……SAN値って、何だろう?


「グルルル……ウォォォン!!!」


 怪獣が咆哮!!

 そして……。


「せ、戦闘機キター!?」


 最寄りの航空自衛隊基地から、戦闘機がスクランブル発進!

 飛び交うミサイル!

 怪獣の口からビーム!!


「何これゴジ〇? ウル〇ラマン? 私達の街が大惨事なんですけど!?」


 吹っ飛ぶ建物! 逃げ惑う人々! 私達の街が、埼玉県狭山市が炎に包まれるッ!!


「しかもマズいわ、自衛隊ピンチだし!」


 ミサイルを何発撃ち込んでも、触手怪獣? 悪魔怪獣? とにかくアイツは、片っ端から再生、ますます荒れ狂う!?


「ねぇ、どうにかならないの!?」


 離れた場所で早百合を降ろし、私はステファニーの首をがっくんがっくん揺する。


「……10分だ。10分間だけなら、僕と君の魔力で、どんな被害も修復出来るよ。プリ○ュアみたいにね」


「り、理屈は分からないけど! 10分て!?」


 短ッ! もう半分経ってるし!!


「そ、それに、あんな怪獣どうしろっていうの!? 私、か弱い中学生だよ!? 無理無理、無理だから!?」


「ばっかやろぉぉぉーッ!!!」


 ばちこーん☆と音はしないけど(中身綿だし)。


「ぬ、ぬいぐるみに殴られた!?」


「宮野りりな! いいやマジカル☆リリィ!! 君は忘れたのか、自分が何者なのかを!!」


 熱っ! ぬいぐるみの目が燃えてるし! 火が出てるし!


「君は百合魔法少女の力を! ガールズラブの力を信じないのか!? 君が目覚めたその力は、宇宙最強! 絶対無敵!! この世で最も純粋な、至高の愛の力だよ!!」


 びしっ、と私を指して、


「あえて言おう! 君はガン〇ムより、イデ〇ンより、グレン〇ガンより強いよ!! ゴジ〇なんて、本気出したらデコピン一発さ!!」


「……ガン〇ムしか分かんないし」


 とにかく、あんな怪獣には負けないってことらしい。


「わ、分かったわよ! どうせ、やるしかないし!!」


「その意気だ、マジカル☆リリィ! ここで決めなきゃ女がすたるよ!!」


 さらに、早百合からも応援!


「がんばって、りりな! いいえマジカル☆リリィ! 私も応援してるから! ……ちゅっ♪」


 ……ほっぺにキス。


「ふぇぇぇっ!?」


 私のリリカルハートがきゅん♪

 心臓の奥から、聖なる魔力が、黄金の光が溢れるのが分かる!


「わ、私、やっぱり! もうノーマルじゃないの!?」


「急いで! マジカル☆リリィ! あと3分だよ!!」


「わ、分かったわよぉっ!?」


 そして私は、数百メートル! 上空へとジャンプして!!


「覚悟なさい、悪魔め!! 天罰てきめん☆GLメテオキィィーック!!!」

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