第2話 最強! 無敵! 百合魔法少女!!①

 ……これが私の、初体験。

 あ、もちろん、変身の話だからね!?


「何これ、何なのこれ!? 髪がピンク色になってるし!?」


 百合魔法少女、マジカル☆リリィ。

 新しい私の姿。とにかくピンクでひらひらの衣装。

 でもロリ過ぎることもなく、肩なんか丸出しで意外とスポーティだし。

 私の魔女へのイメージのせいか黒も多く入っていて、結構エレガントかも。


「で、でもこれ! スカートがミニ過ぎるんですけど!?」


 少しでも動いたら、み、見えちゃうよ!?


「当たり前だろ、魔法少女の伝統衣装だよ! プ〇キュアじゃないんだよ、スパッツなんて認めないよ!?」


 視聴率! 視聴率の為だよ! と、ぬいぐるみが強調!


「とにかく! おめでとう、そしてありがとう、今日から君は、人類の救世主、百合魔法少女だ! V・G・Lビバ・ガールズラブ! V・ G・ L!!」


 ぬいぐるみが喋ってるのが、些細ささいなことに思えてくるし……。

 早百合は鼻血出してるし!?


「はぁ、はぁ、りりな可愛い♪ 変身シーンも最高♪」


 胸を張るのは、なぜかぬいぐるみ。


「魔法少女の伝統に則り、変身シーンは全裸だからね! 読者の皆に見せられないのが残念だよ!」


 早百合はスマホに頬ずりしながら、


「大丈夫よ、ばっちり撮影したから! 宝物にするね♪」


「消去、断固消去を要求する!?」


 きゃいきゃい騒ぐ私達、あれ? 何か忘れてるような?


「おい、バトルしろよ!?」


 金髪美少年、だけど残念触手男のツッコミに、我に帰る。


「そうだった! 私達、襲われてたんだった!?」


「忘れるか普通!? とにかく、やっちまえ!」


 迫る触手、触手、触手! キモイから!?


「こ、来ないでっ!?」


 反射的に、ワンパンチ。


「な、何だと!?」


 それだけで! たったそれだけで!!

 聖なる光が炸裂、触手を砂のように、森ごと消し飛ばす!!

 またまた私の代わりに、ぬいぐるみが勝ち誇る!


「どうだ、これが百合の力! 女の子と女の子の愛情が産む、宇宙最強! 無敵のパワーさ!」


 びっ、と(丸いぬいぐるみの手で)敵を指差して、


「さあ、闘えマジカル☆リリィ! 邪悪な悪魔を骨一本残さず! 宇宙の塵にしてやるんだ!」


「いやいやいや、そこまで恨み無いし」


 そもそも私、状況に付いていけてないよ!?

 宿題のノートを早百合の家に忘れて、取りに戻って……。

 そしたら触手に襲われて!?

 早百合と、き、キスして、魔法少女になって!?


「超展開! 付いてけない! 説明プリーズ!?」


「仕方ない、説明しよう!」


 ぬいぐるみの表情に、謎の集中線が出現!


「奴らは悪魔! いいかいマジカル☆リリィ、君の使命は、奴らを倒し、恐ろしい邪悪な野望を阻止することだッ!」


「や、野望って? やっぱり、世界征服とか?」


「……そんな生ぬるいものじゃないよ。彼ら悪魔の野望。それは、それは……」


 ぬいぐるみの言葉に、私もゴクリ。


「人類、総BL化計画だーッ!!」


「その計画、もっと詳しく!?」


 早百合が食い付いた! すっごいワクワクしてるし!


「何てこった! 君は、両方イケる子だったのか!」


 だから待ってよ、付いてけないし。


「……びーえるって、何?」


「りりな、BLって言うのはね」


 早百合が解説! やっぱり瞳はきらっきら!


「男の子同士で、愛し合うことだよ♪」


「え、えぇぇぇ!?」


 思わず悪魔をガン見!


「じゃ、じゃあ、あいつも……ホモなの!?」


「だから違うわ! 命令なんだよ! 仕方無くなんだよ!!」


「あの、悪魔さん! 質問が有ります!!」


 早百合がはい! はい! と手を挙げる。


「あなたは攻めですか!? 受けなんですか!?」


「あー、もー! うるっせぇぇぇッ!?」


 わ、わ、怒っちゃったよ!?

 ……そして!


「きょ、巨大化したぁッ!?」

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