第1話 百合魔法少女、誕生!
第1話 百合魔法少女、誕生! ①
「遅刻、遅刻するぅー!?」
お約束でごめんなさい!
私は
私が通う中学、公立西中学校は、名前で「わっ、平凡!」って分かる通りの、ごくごく平凡な中学校。
特殊能力者が集められたりもしないし、人外が通ってたりも(多分)しない。
もちろん、女の子同士で「ごきげんよう♪」なんて言わない、ごく普通の学校。
そもそも共学だし!
「解説している場合じゃない! 今日遅刻したら……!」
今日は生活指導の先生が、校門を見張っているはず!
「遅刻者には、死を!(宿題十倍)」がモットーの先生だからね。負けるもんですか!
着替え一分、食事十秒!
「行ってきまーす!?」
牛乳だけ飲んで、後はパンをくわえながら坂道をダッシュ!
「よっしゃ、勝利よ、勝利が見えてきたー!!」
ええ、このペースなら、ホームルームに間に合うし!
と、坂道を駆け上ったところで、親友の
「おはよう、りりな。朝から元気ね」
「おっはよ、早百合! 今日も美人!」
ダッシュの勢いのまま、早百合をダイビングハグ!
「うん、今日も、石鹸の良い匂いですな!」
「ちょ、ちょっと、りりな。恥ずかしいよ……」
スキンシップ過剰? ううん、早百合が美人なのがいけない!
我らが西中のアイドル、
容姿端麗、成績優秀なお嬢様!
「はぁ、平凡な学校にはもったいない♪」
ほっぺに、綺麗な黒髪にすりすり。
おっと、いけない!
「私、ノーマルだからね! これでもノーマルだからね! どんなに早百合が美人だからって、キスしたいとかは思わないんだから!!」
「りりな、誰に説明しているの?」
首を傾げながらも早百合は。
「えへへ、私は、りりなとだったら、良いよ♪」
「ふぇっ!? な、何が!?」
「だから、キス。りりな、ちょっとボーイッシュで、かっこいいもん。女子に人気なの、知ってた?」
「な、変な冗談やめてよ!?」
頬が熱くなる。私はノーマル、ノーマルのはず、なのに!
「ほ、ほら、遅れちゃうよ。ダッシュ、早百合もダッシュしないと!」
「焦らなくても大丈夫よ。ほら、腕組んで行こ♪」
「む、胸を押し付けないでぇー!?」
早百合の柔らかい感触に、私の心臓がどきどき!
おかしいな、やっぱり私……。
「ち、違う! 私はノーマル! ノーマルなんだからね!?」
※ ※ ※
「見つけた! 百合魔法少女の資格を持つ魂を!!」
……遥か上空。金髪に、翼を持つ美青年。
私達の概念で言えば、天使とか、神様とか、そんな存在。
「良い百合の予感だ! さあ、少女よ、早く! 女の子同士に、目覚めるんだぁーっ!!」
この変態に「契約」対象者として目を付けられたことを、私、宮野りりなは、まだ知らなかった。
この時は、まだ。世界の命運を賭けた、戦いの日々が始まったことも。
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