尋問
些事
第1話
ほら、どちらかを選べ。
目の前に二つの瓶が置かれている。
男に脅された私は、左側の青色の瓶を手に取った。
残った方の赤色の瓶を男が手に取った。
生き残った奴が部屋から出る事が許されるんだ。
そういうと、銃口をこちらに向けて、
私に瓶の中身を飲むことを強要した。
私が中身を飲み干した事を確認して、
男も私に続いた。
長い沈黙。
得体の知れない液体を飲んで、数分が経った。私に身体的な変化はない。
かわりに、男は尋常ではない汗をかき、
頻繁にまばたきを繰り返している。
次第に目は虚になり、視点の焦点も合わなくなってしまっている。
私は勝利を確信した…。
ズドン!
…やはり、彼だったのですね。
うむ…。
尋問室のマジックミラー越しに話し合う人影が写る。
我らが商品を守るため、
愛社精神を試す為に行われるカウンセリングと呼ばれる研修。
軍事的尋問、拷問の専門家に監修させたあるプログラムによって、極限状態に置かれた被疑者は、無意識にどちらの商品に忠誠を誓っているのかを判断する。
…世界的シェアを誇る、
ある清涼飲料水メーカーは、ライバル会社による産業スパイをあぶり出すため、この方法を導入した。
…しかし、此処までする必要があるのかと私は疑問に思っているのですが、
甘いのだよ、君は。
そうして、銀色の坊主をのサボらせた結果が今の現状なのだよ。
それに、どうかね?このカウンセリングを導入してから、我が社の売り上げは徐々にシェアを取り戻しつつある。
最近では、秘伝のスパイスを使う紳士からも、このカウンセリングの導入に関して協力をお願いされたところだよ…。
尋問 些事 @sajidaiji
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます