第66話 昴留学を考える!?

学園祭が終わって数日、昴も回りも落ち着き

普通の日常に戻っていた。

昴は屋上のベンチで仰向けで寝ていたが

そこにめぐみがかぶさってきた。


「重いからどけ」

「女の子に一番言ったらいけないセリフよ!ねぇ、何考えてるの?」

「何も考えてない。しばらくは仕事も

ないし、学校も落ち着いてるからな」

「だったら、何で難しい顔してるの」

「俺は最初からこうだが」

「そうだけど、それとは違う感じがする

から気になるの」

「まったく、よく見てやがるな」

「当たり前よ。好きな奴を見て何が悪いの」

「ま、お前にならいいか。いずれ言わないといけないからな」


昴はめぐみにこれからの事を話した。


「それ、本当なの?」

「ああ。今8割程決めている」

「じゃあ私が残りの2割を守るわ」

「できるならしてみ!?」


昴が話してる途中でめぐみはキスをした。

しかも、数十秒程何度も。


「おい」

「昴、気持ちいい?」

「・・・悪くはないがいきなりは苦しい

だけだ」

「だったら、またするね」


めぐみは昴の顔を持ちながらまたキスを

した。昴もすぐに離れるが、今それを

したらめぐみを悲しませる事になるかもと

思い、めぐみの気がすむまでさせた。


「満足したか?」

「本当はエッチしたいけど、一応学校だからここまででいいわ。昴が、ここにいる時は

これから毎日するから」

「それを言うと俺が来なくなるぞ」

「大丈夫。ここじゃなくても、二人きり

になったらするから。それで、私から

離れられないようにするわ。絶対あなたを

どこにも行かせない。私の隣があなたが

一番居るべき場所だってわからせる」


めぐみは少し泣きながらそう言って屋上を

去っていた。昴はそのまましばらく居て

自分の唇に指を当て、めぐみの感触を

思いかえしながら考えた。


夜、自分の部屋で侑子と食事をしているが

昴はあまり箸が進んでいなかった。


「どうしたの?あなたがそんなに考え

こむなんて」

「ああ、ちょっとな。なぁ少し話しても

いいか?」

「いいに決まってるでしょ。私はあなたの

母親なんだからね昴」

「そうだな」

「だから、いい加減ママって言ってよ」

「言うか高校生が!」

「歳は関係ないわよ。ママって言わないと

お母さん泣いちゃうぞ」

「勝手に泣け」

「ひどいわ。お母さん、そんな子に育てた

はずないのに」

「いいから話しを聞け」


侑子は悪のりを止め、昴の話しを聞いた。


「なるほどね。あなたはどうしたいの?」

「俺はわからなくなってきた。今でも

一人で十分だと思っているが、どこかで

あいつを悲しませたくないとも思って来てる自分がいる」

「胸が苦しくなる?」

「わからんが、ちくりとぐらいはきてる

かもしれん」

「それがわかれば十分よ。後はあなた次第だから」

「俺次第か」


侑子は自分の部屋に戻った。昴は片付けを

し、風呂に入り、キーボードの席に

座るが、手が動かなかった。考えている

間もずっとめぐみが頭から離れなかった。


昴が考えていた事、それは、来年の三学期からはイタリアで暮らそうとしていた事だ。

高校を卒業したらプロデビューするのは

今の昴も望んでいる事だが、デビューする

前にこれだけ騒がれてしまい、昴は少し

戸惑ってもいた。今までの一人でいた時

とは真逆な人生だからだ。

だから昴はデビューする前に少し落ち着いた

時間が欲しかった。でも、日本ではめぐみや

チーム霧島、ほのか達がいたり、今では

どこに居ても、気づかれて買い物もろくに

行けない程だ。それはイギリスでも一緒で

フランスも日本アニメが流行っているので

当然、アニサマに出た昴は有名になって

いる。だから、修学旅行で行ったイタリア

なら、落ち着けると思い、三学期の間

そして、デビューするまで留学しようと

決めていたが、めぐみにそれを阻止

されようとしていたのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る