第12話 アイドルユニットと出会う昴

現在、七月上旬。学生はもうすぐ夏休みに

入るため、楽しくなる時期だが、昴には

夏休みも何も関係なく、同じ日を過ごし

退屈な夏休みになっていた。


でも、今年は違うかも知らないと昴は

思っていた。


夏休み前、学園でのテスト等も終わり

あとは夏休みになるのを待つだけだが

昴はその夏休みの計画を考えていた。


バイト先の休憩室。昴はスマホのカレンダーを見たり、ネットで何かないかを見ていた。

そこに誰かが声をかけてきた。


「お!お前もそう言うの見るのか?」

「勝手に覗くな」

「まったく相変わらずの態度だな。俺は

年上だぞ」

「俺には関係ない。それはあんたもわかってるだろう」

「ま、そうだがな」


話しているのは大学生の黒田孝弘(くろだたかひろ)だ。バイトの中で昴に話しかけて

来る数少ない一人だ。

昴の事は全員知っているが、中にはその

昴を良く思わない人もいるが、彼は

平気で話しかけて来ていた。


「なぁ、あんたは夏休み何してる?」

「お!?お前から聞いて来るなんて珍しいな。そうだな、仲間と遊んだりここで

バイトしたりだな。まぁやっぱ仲間と

遊ぶのが一番楽しいな。お前も仲間と

遊ぶんだろ」

「俺に仲間なんかいない」

「あいつらは違うのか?たまに一緒に

来てるだろ」

「あれはあいつらが勝手に来てるだけだ!

俺は誰かと仲間なんかにはならん」

「それじゃつまらないぞ。お前の事は

知ってるから無理には言えないがな。それでも、誰かとバカ騒ぎするのも悪くないぞ!

お前もいつかはわかるさ」


孝弘は部屋を出た。昴は心の中ではそう

したいと思っている今の自分がいる

事に気づいていた。でも、それを出来ない

自分がいるのもわかっているので

もどかしかった。


とある夕方。昴は秋葉に居た。人が多い場所は嫌いだが、なんとなくやってきた。


ここはアニメやアイドル系のものが多く

あり、めぐみのポスターもたくさん

見かける。そんな中のひとつの店に入った。


そこはCDショップだが、奥の方で何かが

行われていた。

少し様子を見る。そこには三人の少女達

がステージに立ってトークをしていた。


看板を見るとそこにはアイドルユニット

トーク&ライブショーと書いてあった。


「あれもアイドルか。あれは!」


昴はステージの横にいる人物を見た。そこに

いたのはめぐみのマネージャーの安部が

居た。昴は近くまでいき、安部も昴に

気づいた。


「霧島君!どうしてここに?もしかして

見に来て」

「偶然だ!」

「やっぱりか。相変わらずだね」

「それが俺だ。それより、アイドルユニットってなんだ?」

「ああ、文字通り、アイドル同士でチームを組む事よ」

「チームか。演奏するのか?」

「ええそうよ。ギターとキーボードと

ボーカルの構成で、今、売り出し中なのが

彼女達Icegirlよ」

「聞いて行ってもいいか?」

「もちろん!もうすぐライブになるから

聞いてちょうだい」


昴はそのままそこに居る事にした。そうして

彼女達のライブが始まり、会場は盛り上がった。数曲だけだが、ライブは成功した

みたいだが、昴だけは盛り上がらなかった。


「おい、あれでプロなのか?」

「ま、まぁね。あなたよりはうまくないかもしれないけど。これからもっと上手くなるわ!彼女達は本気だから」

「本気か。なぁあいつらと話せるか?無理ならいいが」

「いいわよ。あなたもうちにいる様な

ものだしね」

「入った覚えはないがな」


そうして昴は安部に控え室に案内され

彼女達と会う。



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