第41話(動き出した歯車)
ーーゼノは空飛ぶタクシーで、淳史が居る研究所に向かう。支払いは、おじいさんがしてくれた。ゼノはそわそわしてしまう。タクシーが、どういうシステムで浮いてるのか解らない。
「お客さん、タクシーは初めて?」
「ああ。結構面白いな」
「お客さんをスラムの人かと思ったけど、あの近山様の依頼だ。きっちり仕事させて頂きますよ」
「あのじいさん、凄い人なの?」
「知らないんですか。人造人間の人権保護法を可決させた、大物政治家ですよ」
「なるほど」
「さあ、着きましたよ」
タクシーは、研究所のエアポートに着陸して、ドアが自動で開く。
「ありがとう、助かった」
「では、またのご利用を。失礼します」
ゼノは研究所に入る。どうやら、顔パスのようだ。長い通路の両サイドに研究室が並んでる。ゼノは淳史を探す。すると、前から誰か歩いてきた。
「やあ、黛君。来ると思ったよ」
「小泉…………さん」
「どうする? 殺すかい?」
「アッツが死ぬかもしれない。エアハートで見た」
「ほう。それで助けに?」
「まあ、そんなところだ」
「着いてきなさい。近山君を救おうじゃないか」
ゼノは、小泉に着いていく。その間、会話はなし。そして一室の前で立ち止まる。
「ここだよ」
「行ってくる」
ゼノは、室内に入ると、淳史がヘッドマウントディスプレイを被って椅子に座っていた。
「隣の筐体に座って、これを被ってくれ」
小泉は、ゼノにヘッドマウントディスプレイを渡す。
「アッツの居場所は?」
小泉は空中にホログラムを映す。
「これはセンターモニターだ。近山君は、2030年代の自宅に居る。どうやらセーブザウォーにログインしてるようだ。そうだ。黛君に話しておこう。バグが発生してね、これが殺人マシーンに変貌した。倒せるかい?」
「判らん。やるだけやってみる」
ーーゼノはログインした。警察病院の病室からスタートだ。腹を刺された傷は癒えてない。痛い。服を着替えて、駐車場に行く。
「ロータス・エキシージ。動いてくれるか?」
ゼノはエキシージを運転して近山宅へ行く。バーチャルリアリティだと判ってると運転が荒くなる。グラセフみたいなものだ。
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