第39話(バグ)

ーーゼノを捨てた淳史は組織の上層部から問い詰められた。淳史に非はない。しかし、電脳世界にバグが発生した。このバグはあらゆるシステムを破壊する危険性があり、上層部はその処理を捨て駒のゼノにやらせようと画策する。淳史は父親の家にゼノが居るとも知らず、スラム街に出て、ゼノを探す。


「どこに行きやがった、あの野郎」


「おっと、お兄さん。ここがどこだか分かってるのか?」


スラムの輩が現れて、淳史を取り囲む。


「カネやるから帰れ」


淳史は電子マネーがチャージされたカードを取り出す。


「話が分かるじゃねえか。いくら入ってるんだ?」

「50万だ。俺は忙しいからこれでさっさと帰ってくれ」

「生意気だな。俺達を下に見るなよ?」


輩の1人が、淳史から電子マネーのカードを奪い取ると、輩は立ち去って行った。


「ふぅ。あぶねえあぶねえ」


淳史は捨てた辺りから一通り探して居なかったので諦めた。


「さてと、上に何て報告しよう。面倒な事になったぜ」


淳史は仕方なく、研究所へ帰る。上層部はゼノの代わりに淳史を指名してバグの処理をさせる事にした。


「近山君、出来るね?」

「無理ですよ。俺には、エアハート何て特殊能力ないですし」

「自信がないか。しかし、世界の終わりの始まりだよ。一刻を争う」

「小泉さんがやればいいんですよ」

「私に出来るなら、とっくにやっている」

「すみません」

「とりあえず、近山君はバグと交戦せずに様子だけ見てきてくれ」

「バグはどこに?」

「VR世界の2030年代に一匹だ。いいかい、近山君。バグの実害は既に報告されている」

「具体的にどんな害ですか?」

「ログインしたプレーヤー数百人が脳炎を発症した。手遅れらしい。バグは強くなっている。インフラに害を及ぼすのも時間の問題だ」

「怖いです」

「誰だって怖いさ」

「死ぬかもしれない。嫁に電話しても?」

「ああ、許可しよう」

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