第32話(呪われた近山家)

ゼノは警察署の玄関で小泉を待ってると、1台のパトカーが横付けされた。降りてきたのは婦警と近山ゆかりだった。


「ゆかりさん…………」


ゆかりはゼノを無視して、警察署の取調室に連れていかれた。次は、ゆかりが重要参考人として任意同行された。


ーーゆかりへの尋問が始まった。婦警が担当する。


「旦那さんと別れてどれくらい?」

「1年ほどです」

「ドメスティックバイオレンスをするクズな男らしいね」

「はい。接近禁止にしていただいてありがとうございます。犯人はアイツだって言うんですか?」

「いいえ。あなたよ、近山ゆかりさん。凜さんに教育虐待をしていたそうね」

「虐待!? 私、そんな事してません!」

「保育園の先生が証言してくれたの。インターナショナルの保育園でしょ。凜さんが英語のテストで100点を取ったのに、あなたはそれを認めようとしなかった」

「それは、ペケの印が付いてるのに、凜は0点を100点だと偽って…………」

「あなたねえ、本当に人の親? インターナショナルスクールは、マル印とペケ印が逆なの。それを知ろうともしないで、凜さんを問い詰めて、虐待して」

「ちょっと待ってよ! 何で私が疑われてるの!? 犯人は元夫か黛ゼノよ!」

「いい加減に白状しなさい! 自分の子供を手にかけておいて、しらを切るつもり!? 状況証拠は揃ってるのよ!」


ーー警察は面子を優先して、ゆかりを逮捕送検した。


ーーゼノは、小泉が運転するセダンで内閣情報調査室の支部の基地へ向かう。GTRはしばらく入院、板金屋送りだ。積載車で運ばれて行った。


地方の基地は普通のマンションの一室だ。ゼノと小泉は基地のリビングへ行く。リンゴ狩り園銃殺事件を担当するチームメンバーが数人いた。


「黛君、テキトーに座って」

「腹減った」

「カップ麺で良ければ、いくらでもあるよ」


小泉は、カップ麺と割り箸と電気ポットを持ってきてくれた。


「ありがと」

「食べながらで聞いてくれ。リンゴ狩り園銃殺事件のホシが光った。黛君もよく知ってる男だ」

「誰? 渦辺木?」

「…………近山淳史」

「はぁー!?」

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