第31話(内調)

ーーゼノは、手錠を嵌められて、パトカーで連行された。


しかし、GTRを押収した細田巡査は興奮している。なぜなら、GTRを運転するのは子供の頃から夢だった。山道でエンストしながら先輩のパトカーを追いかける。


「ドリフトってどうやってやるんだろ~? とりあえず、サイドブレーキかな?」


細田巡査は下り坂のコーナーで目一杯、サイドブレーキを引く。キキー! ガッシャン! GTRが1回転して、ガードレールにぶつかった。


「僕は事故ってない、僕は事故ってない。…………そうだ! 暴走族がぶつけたとして処理しよう。どうせ下手くそな奴等だろう。見た目ばかり金かけて」


ーーゼノは警察署の取調室に押し込まれる。


「また君か」

「誰?」

「座りなさい」

「へーへ」


ゼノはおとなしく椅子に座ろうとすると警察官に押さえ付けられる。


「拳銃を持ってたそうだね、黛君」

「黙秘する」

「またかい。近山凛さん殺害事件の時もそうだったね。何か、上の圧力があったみたいだけど」

「そりゃ内閣情報調査室に飼われてる犬だもん」

「内調だと!? 冗談はよしてくれ。女児殺害をする暴走族が内調な訳ない」

「拳銃」

「あっ!」

「お前ら、ナードだから教えてやる。飼い犬に手を出すと出世に響くよ~」

「本当に内調ならもう情報は上がってる?」


ゼノを押さえ付けていた警察官の手が緩む。


「さあ、どうだかな」


ーーゼノは、釈放された。グロックは押収されてしまったが、警察署はどう扱うのやら。


先輩巡査が、警察署の前までゼノを送る。すると、細田巡査がボコボコのGTRで到着した。


「せんぱぁーい! 暴走族が事故を起こしましたぁー!」


細田巡査は、先輩巡査に引きずり出され、顔面をボコボコにされる。


「バカ野郎ー!」

「何するんすか、先輩!」


ゼノは携帯電話ですぐに小泉へ連絡を入れる。


『GTRをボコボコに壊された。飯田警察署の連中を全員懲戒免職にして』

『キレてる? 文面から伝わってくるよ。それは出来ないけど、迎えに行くよ』

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