第28話(ボス登場)

ゼノは、一足早く南木曽峠の駐車スペースに着く。走りに来てるドライバーは居ない。淳史もまだ着いてない。ゼノはGTRを降りる。


「トンネルからも、登ってくる車もない。エキゾーストノートが聴こえないな~。よし、グロックの試し撃ちをしてやるか」


ゼノはGTRの後部座席からアタッシュケースを取り出す。そしてマガジンを出して1発弾を装填する。拳銃本体を右手に持って、チャンバーにマガジンを入れて暗闇の森林に銃口を向ける。


「まだエキゾーストノートは聴こえない。俺しか居ない南木曽峠…………」


パーン! 銃声がやまびことなり、エコーを響かせる。


「おもしれー!」


コーン! トンネルの方からエキゾーストノートが聴こえてきた。


「シルビアとFDの音かな? グロックを仕舞わないとな」


ゼノは急いでグロックをアタッシュケースに入れて、GTRの後部座席に置く。


トンネルを抜けて出てきたのはやはり、淳史のシルビアとスタンのFDだった。2人はGTRの近くにマシンを停める。


「遅くなって悪い」

「アッツ。何をやってたん? 同時に出発した割には15分くらい遅かったが」

「スタンとくっちゃべってた」

「ったく」

「で、リンキルはどこだ?」

「解らん。まだ来てないと思う」


スタンがFDから降りて、ゼノに言う。


「リンキルのリーダーは、凄いマシンに乗ってるわ」

「RB26DETTブチ込みシルビアくらいじゃないと驚かない」

「そのうち分かるわ」


ドドドドーー! 下から登ってくるエキゾーストノートをゼノ達はキャッチした。


「これは……日本車じゃないな?」

「ご名答。リンキルのリーダーのマシンに間違いないわ」


南木曽峠を登って来たのは、シボレーC7コルベットだった。


「コルベットだとー!?」

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