第27話(タイヤ交換)
ーーゼノは警察をよそ目にタイヤ交換をする。淳史にレクチャーを兼ねて。
まず、リアタイヤから。リアタイヤはデフにジャッキを当てて持ち上げる。この時にタイヤの接地面をギリギリにしてからナットを緩ませる。それからジャッキで完全にタイヤを浮かして、ナットを取る。新しいタイヤに付け替えたら、5穴のボルトを対角線の順番でナットを締めていく。
次はフロントタイヤ。R32スカイラインGTRはフロントヘビーだ。ドリフトをやっててもフロントタイヤの減りは早い。ホイールベースのフロント側にジャッキを当てて片方ずつ交換する。要領はリアタイヤと同じだ。
ーータイヤ交換が終わり、ゼノと淳史はGTRに乗って淳史の家に戻る。もう夕方だ。
「メシ食ったら南木曽に行くか」
「時間がもったいないな。俺んちでテキトーに食ってけ」
「ああ」
「取ってくるから、ちょっと待ってて」
淳史は、ゼノを残して家の冷蔵庫を漁る。分厚いチャーシューを取り出して、電子レンジで30秒温めて、包丁で半分に切り、ゼノの元へ戻る。
「アッツ、それは何だ?」
「チャーシュー」
「それは分かる。それを食うのか?」
「そうだ。温めてきたから大丈夫」
「頂こう」
ゼノはチャーシューにかぶり付く。味は悪くない。でもなんで、チャーシューをチョイスしたか解らない。
「さて、今日こそ、リンキルを取っ捕まえてやるぜ」
「じゃあ、出発するか」
「行こ行こ。スタンも来るって」
ゼノと淳史は南木曽峠に向けて、それぞれの車を走らせた。
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