第26話(ヘドが出る。死んでくれ)

ーーゼノは要塞の屋上に行く。何機もの戦闘機がミサイルを撃ち込んでいる。ゼノは1つの台座機関砲に乗り、突っ込んでくる戦闘機にサイトを合わせる。ダダダダーー! ドカーン!! 1機撃ち落とした。


「そこっ!」


ダダダダーー! ゼノは敵の動きを見切った。というか動きが読める。ドカーン!! ダダダダーー! ドカーン!! ゼノは面白いように敵機を撃ち落としていく。これは半エアハート状態だ。先が見える。ゼノが5機撃墜したところで、戦闘機の編隊は逃げ去った。


『パンパカパーン! ゼノ様がレッドチームの戦闘機を5機撃墜しました。50万ポイントを進呈致します』

「警察に盗られない?」

『ご安心をしてください。もうあのような事は起きません』

「良かった。ログアウトする」


ゼノは、リアルの世界に戻ってくる。ヘッドマウントディスプレイを外すと、淳史が先にログアウトしていた。


「ゼノ。収穫はあったか?」

「リンキルはハンネを変えた。また変えるかもしれない」

「なんて名だ?」

「キラーティーだ。人を殺した事はあるかと尋ねたところ、挙動がおかしかった」

「どこにいる?」

「ブルーチームの要塞だよ。ブリッジにいた」

「要塞か、まずいな。俺は手出し出来ん」


ーーゼノは、淳史に一通りの状況説明をした。淳史からは収穫無し。


淳史はおもむろに携帯電話を取り、メールを打ち返す。スタンから着信が入っていた。


「なぁ、ゼノ。疲れてないか?」

「ピンピンしてるよ」

「リンキルが南木曽峠に来る。今夜だ」

「そうか。なら、まずはタイヤだな」

「タイヤ?」

「GTRのタイヤ交換しないと山がないよ」

「よし。タイヤ交換しよう」


ゼノは淳史を乗せて、GTRで自宅に帰るとパトカーが停まっていた。


警察官の1人がゼノに気づく。運転席側のウインドウを下げるように指示をしてきた。ゼノは従う。


「どうもこんにちは。黛さんちの息子さんだね?」

「そうだけど、何か」

「親父さんを蹴ったみたいだね。あばら骨が2本折れてたよ」

「あっそ。アルコール依存症のクズだから死刑にしといて」

「あははは。親父さんがアルコール依存症になったのには訳があるんじゃないかい?」

「子供には関係ない。あのバカを死刑にして、独房のドアノブをランダムにガチャガチャね」

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