第23話(謎)
ーーゼノは、傷つけられたGTRを運転して、淳史の家に行く。駐車スペースに停め、部屋に入る。すると淳史は血相を変えてゼノに言う。
「リンキルの正体が掴めてきた」
「凜は事故死だ」
「いや、違う。殺された。スタンとメールでやり取りしてたら、南木曽峠に時々現れるドリフトチームがチーム名を改名したらしい」
「色々と話が突飛してる」
「ああ、順を追って説明しよう。まず、スタンと俺は付き合う事になった。そして、スタンとラブラブメールをしてる時、スタンはこんな事を言った。〝南木曽峠に時々現れるドリフトチームがリンキルに改名した〟と」
ゼノは少し考える。凜は本当に事故死か? 組織の小泉が言うには事故死の線が〝濃厚〟つまり事故死が確定した訳じゃない。そして、タイミングよく、ドリフトチームの改名。疑う余地はアリアリだ。
「アッツとスタンが付き合うのに異論はない。それよりその走り屋チームはいつ南木曽に来る? 拠点は?」
「まあ、そう焦るなよ。スタンの話には続きがあるんだ。その改名したドリフトチームのリーダーはセーブザウォーをプレーしている。ここまで言ったらもう解るよな」
「ドリフトチームのリーダーとアッツが追ってたセーブザウォーのリンキルは同一人物だと、そういう訳だな?」
「ご明察」
「それにしても、凜を殺った犯人は何がしたいんだ? リンキルってハンネにチーム名。『俺が犯人です。捕まえてください』と言わんばかりだ」
「警察や遺族を挑発してるのかもな。まあ、俺達は2本の線から真犯人を追うことが出来る。これはアドバンテージだ」
「確かに」
「それで、ドリフトチームの拠点だが中部地方に散在してるそうだ。南木曽峠に来るのも不定期」
「南木曽峠以外は?」
「サーキットにも来るらしい。よく来るのが瑞浪市のYZサーキットだ」
「岐阜県か。遠いな」
淳史はセーブザウォーの筐体に座る。
「プレーヤーのリンキルが日本人だと判ったら、セーブザウォーで締め上げてやろうぜ」
「そのリンキルってプレーヤーはどっちのチームだ?」
「ゼノと同じブルーチームだよ」
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