第22話(クソ親父)
ーーゼノは目を覚ますとGTRを降りて自宅に入り、シャワーを浴びる。腹が減ったから冷蔵庫を漁ると、缶ビールにウイスキーと焼酎のボトルが詰め込まれていた。アルコール依存症の馬鹿な父親が買ってきた物だ。ゼノは、その酒類を蓋を開け、シンクに流し捨てる。
ゼノは、淳史にメールを送る。
『起きてるか?』
『セーブザウォーの続きだ。来い』
『寄り道してから行く』
ゼノは、近所のラーメン屋に歩いて行く。
「らっしゃい! おっ、ゼノ君久しぶりだね」
「大将おひさ~」
このラーメン屋は、ゼノが昔から通ってる小さな店だ。カウンター4席、4人がけテーブルが2つ。ゼノはカウンターに座る。他に客は居ない。繁盛してる時は行列ができるが、平日の昼前だ。
「大将、いつもの」
「はーい! チャーシュー麺大盛油入り肉増し一丁!」
5分ほどで、ゼノの前にラーメンが運ばれてきた。
「相変わらず美味そうだな。いただきます」
「おう! たんと食えよ」
ゼノは、まずスープから飲む。醤油ベースで隠し味に生姜が効いてるコッテリスープだ。組み合わされる麺は中太ストレート麺。スープと麺がよく絡む。チャーシューは猪の肉だ。臭みはなく、深いコクがある。
「ゼノ君、知ってるかい? りんご狩り園殺人事件」
「銃が使われたんだよね。物騒な街だな」
「新聞で読んだけど、犯人が釈放されたみたいだよ」
「渦辺木は同級生だった奴だよ。釈放されたか。ホンボシでない事は分かっていたが」
「警察はてんやわんやだね」
「そりゃ、疑わしきは罰せずだからね。証拠も状況証拠もないのに見切り発車で誤認逮捕した。渦辺木は訴訟を起こすといいのに」
「警察はいつから間抜けになったのやら」
「はぁ~食った食った。大将、お勘定」
「はい、毎度!」
ゼノはカネを支払い、自宅へ戻る。
GTRの運転席側のドアに十円玉で傷を付けられていた。
「誰だ…………やった奴!」
ナードな父親が家から出てきた。
「ゼノ! 貴様、酒を捨てたな!? 許さん!」
「テメーか!? テメーが、GTRを傷つけたのか!?」
「煩い黙れ! 今すぐ酒を買ってこい!」
バキッ! ゼノは、父親の顔面を思いっきり殴った。
「警察を呼ぶからな。アル中が」
「殴ったー! 殴ったー! この殺人鬼が! 俺も殺すつもりか!?」
ゼノはブチキレた。父親は凜の事を馬鹿にしている。ドカッ! 怒りに任せて父親の腹にミドルキックを入れる。肋骨が折れた。
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